よくわかる脳梗塞の予防・治療Navi

脳梗塞の前兆

知っておきたい脳梗塞の前兆をまとめました。

日常のちょっとした違和感…実はそれ、脳梗塞の前兆かも?

普段できていることができなくなったら、脳梗塞のサインと思え!

脳梗塞は、脳の血管が詰まってしまい、その先の細胞へ酸素や栄養が行きわたらなくなった状態。脳はあらゆる運動機能、感覚機能を司っている大切な器官なので、一部分でも梗塞を起こすと、体のどこかで支障をきたすことになるのです。

真っ直ぐに歩いたり、手や口を動かして食事したり…。そんな基本的な動作に違和感があったら、脳梗塞を疑ってみましょう。

運動障害(麻痺、うまく動かせない)詳しくはこちら

脳梗塞の前兆とみられる運動障害を判断するには、普段何気なく行っている動きをチェックしましょう。

症状と対策

脳梗塞の前触れとして、急激に運動機能が低下する症状が多く現れます。具体的には、手や足をケガしたり激しく痛むわけでもないのに「いつも通りに動かせないな…」と感じることから始まります。まっすぐ歩くことや他愛ない会話など、ごく日常的な動作に困難が生じるので、本人も周囲の人もすぐに異変に気が付きやすいようです。
脳梗塞による運動障害は、両方の手足に症状が表れる場合もありますが、片手や片足、顔面の片側だけといったように、片半身のみに起こるケースが多いという特徴があります。
一部例外はありますが、多くの場合、脳は左側で右半身の感覚や運動機能を、右側で左半身の機能を調整していると言われているので、脳梗塞が発症した側の反対側の半身に、麻痺や運動障害が起こるというわけです。
例えば、両手を前に水平に上げてみて、片方だけがどうしても下がってしまうという人や、どちらかにだけ違和感があるようなら脳梗塞の前兆のおそれがあります。お箸や歯ブラシなど、いつもなら意識せずに使えていたものがスムーズに動かせない、頻繁に落としてしまうなどの分かりやすいケースもあるそうです。さらに、顔面が片側だけ動かしずらくなって、表情が上手く作れないと感じたときも、要注意です。
脳梗塞を発症すると、手足の動きだけではなく、食事の時の嚥下運動にも障害が起こることがあります。口や喉の動きを司っている部分に梗塞が起こり、舌や喉の連動した複雑な動きを調整できなくなるのです。飲み物や食べ物を上手く呑み込めない、気管に入ってむせることが多いと感じたら注意が必要。脳梗塞を発症した人の3~4割程度が、食事に困難を感じる嚥下(えんげ)障害を発症すると言われています。
これらの運動障害を確認したら、速やかに脳神経外科や神経内科などを受診すべき。急激に症状が悪化しているようなら、家族や周囲の人に救急車を呼んでもらって対応すべきです。

感覚障害(感覚がない、しびれる)詳しくはこちら

手足の感覚がなく、しびれるように感じるときも注意が必要。運動障害と同様に、体の片側だけに起こる場合があります。

症状と対策

脳梗塞の前兆としての感覚障害は、手足の麻痺やしびれが代表的。運動障害の場合と同じく、手や足の片方、顔面の片側だけに起こる片麻痺が多いと言われています。左右の脳のどちらに脳梗塞が発生したかによって、体のどちら側に麻痺が起こるのかが変わってきます。
しびれや麻痺と言っても、正座した後のような激しいビリビリとしたものだけではなく、表面に薄い手袋をはめたような鈍い感覚が続くケースも比較的多いと言われています。手足を圧迫したわけでもないのに、じんわりとしたしびれが続くそうです。
また、脳梗塞の象徴的な症状として、手と口に同時に起こる麻痺やしびれが挙げられます。これは、手の神経や運動の調整を行っている部分と口の神経を司っている部分とが、脳の中で近い位置にあるため、その周辺で脳梗塞や何らかの疾患が起こると、手と口で同時に感覚障害が起こってしまう、というものです。医学的には「手口感覚症候群」と呼ばれているそうで、脳梗塞を始めとする脳血管障害によって起こる特異的な症状です。
脳梗塞を発症してしまうと、たいていの場合は治療後までしびれや感覚の麻痺は長く続くものです。しかし中には、数分間だけしびれが起こって、すぐに消えてしまう場合もあります。これは、「一過性脳虚血発作(TIA)」と呼ばれるもので、本格的な血栓になる前の一時的な血管の詰まりで起こる前触れ発作のようなもの。脳梗塞に似た症状が急に現れて数分から長くても数十分で消えてしまうのが特徴です。しかし、すぐに症状がおさまったからといって油断はできません。TIAを放置しておくと、約5割の人は数日以内に、2割程度の人が3ヶ月以内に脳梗塞を発症すると言われているからです。最も危険なのが48時間以内とされているので、しびれや麻痺などの症状が急に起こり「これはおかしい」と思ったら、一刻も早く病院を受診しましょう。

視覚障害(二重に見える、視野が狭くなる)詳しくはこちら

大脳の視覚野で脳梗塞が発症した場合は、複視や半盲などの視覚に関する異常が表れることがあります。

症状と対策

脳梗塞に伴う視覚障害は、左右どちらかの大脳皮質の視覚野などに病変ができることで発症します。視覚情報を脳が認識できなくなってしまうことで起こる障害と、目の筋肉を上手く使えなくなることによって起こる障害の2つのケースがあるようです。
視覚障害の代表的な例として挙げられるのは、手足の運動障害や感覚障害の片麻痺と同様に、視野の半分だけが欠損してしまう半盲という症状。半盲は、片目または両目で見ても、片側の視野が見えなくなるもので、脳のどちら側に脳梗塞が発症したのかによって、どちらの視野が欠けてしまうかが決まります。病変が小さい場合は、視野の上半分や下半分(視野全体の4分の1)が欠けることもあるようです。これらは、目の機能には何ら問題がないのですが、目から入ってくる情報を大脳が処理できなくなることで視野が欠損してしまう症状。視野が欠けてしまっていることに気が付くと、本人の違和感は相当大きなものとなります。
さらに、病変部分が大きい場合は、半側空間無視という認識障害を起こすこともあるそう。主に左側で発症する人が多いそうですが、単純な視野の欠損だけでなく、左側にあるものや左にいる人、左側そのものを認識できなくなってしまう状態で、本人の中では左側が存在しなくなってしまうのです。半側空間無視の場合は、左側の感覚障害や運動障害を伴うことが多いので、左側にやたらぶつかってケガをするなど、周囲の人も比較的気が付きやすい症状です。
また、目の周辺の神経や運動機能を司る部分で病変ができると、筋肉をスムーズに動かすことができなくなり、物が二重に見えてしまうことがあるそうです。目の周りには片目に6本ずつ筋肉がついていて、通常の場合はそれら12本の筋肉をバランスよく動かすことでハッキリと物を見ることができます。しかし、脳梗塞によって目の運動機能を調整できなくなると、左右のバランスが崩れ、物がブレて見えるようになってしまうのです。これは、運動障害の一種として考えることができます。

言語障害(舌がもつれる、話が理解できない)詳しくはこちら

発声や言語理解を司る領域で脳梗塞が起こると、上手く発語できなくなったり、言葉を理解できなくなったりする、言語障害が出ることがあります。

症状と対策

脳梗塞などの脳血管障害による言語障害は、大きく分けると2種類あります。
ひとつは、口や舌、喉を動かして発声するための神経や運動機能を司っている部分に障害が起きてしまう、構音障害と呼ばれるもの。私たちは通常、唇や舌、喉や口蓋などをタイミングよく連動させることで言葉を発していますが、それら口周辺の器官に指令を送っている脳に問題が発生すると、上手に発音できなくなってしまいます突如として舌がもつれて、今まで通り話すのが困難になったり、明確に言葉を発することが難しくなったりしたら要注意。特に、ラリルレロやパピプぺポなど、舌と唇の動きが複雑な言葉はハッキリと発音できなくなることが多いようです。家族やパートナーの話し方がおかしいな、と感じたら病院を受診するよう強く勧めましょう。
もうひとつの言語障害として注意すべきなのは、感覚性失語と呼ばれるタイプ。口や舌の動きは明確でスムーズなのですが、発する言葉の内容が意味不明であったり、支離滅裂であったり。言葉そのものを理解できなくなるタイプの言語障害です。左脳の比較的後ろの方に病変があるケースが多く、言い間違えや意味不明な言葉の羅列、支離滅裂な発言などが突如出てくるので、周囲の人が驚いてしまいます。この場合、発言だけでなく、言葉を聞いたり読んだり、書いたりという機能も上手く働かなくなるそうです。
さらに、左脳の前方部分に病変ができた場合に起こりやすいのが、健忘失語という特定の言葉がなかなか出てこなくなる症状。物忘れにとてもよく似ているのですが、ごく簡単な単語が出てこなくなってしまい、回りくどい表現で説明する…ということが頻繁に繰り返されてしまいます。「あまりに物忘れがひどいな」とか、「簡単な言葉が出てこないな」と感じたら、ただの物忘れではなく、脳梗塞の前兆である健忘失語かもしれませんので、念のため脳神経科や神経内科を受診しましょう。

バランス障害(めまいがする、ふらつく)詳しくはこちら

小脳で病変が発生すると、体の運動機能に障害が起き、平衡感覚やバランス感覚に支障をきたすことがあります。

症状と対策

人間の脳の中でも、小脳は比較的古い脳で、生命維持や基本的な運動機能を司っていると言われています。この小脳で脳梗塞が起こると、体全体のバランスや平衡感覚、リズム感覚などが麻痺してしまって、真っ直ぐに歩行できなくなったり、姿勢の維持が難しくなったりしてしまうそうです。
小脳は通常、頭の位置や角度の変化を察知して、体幹や手足の筋肉を調整し、姿勢を正常に保つ働きを担っています。しかし、この小脳で問題が発生すると、平衡感覚が麻痺してしまって頭の位置を水平に保てず、左右の目の視点もズレてしまい、めまいやふらつきが起こります。それに伴って手も足もバランスよく動かすことができなくなるので、真っ直ぐに歩くことすら難しくなってしまうわけです。
急激なめまいに襲われる疾患はほかにも様々ありますが、体のバランスが取れない場合や歩行が難しいほどにふらつく状態が長く続く場合は、脳梗塞などの脳血管障害を疑う必要があります。
さらに、小脳に病変ができたケースの特徴的なものとして、リズム感覚が麻痺する症状が表れることがあります。小脳は大脳を経由せずに耳からの情報を感知できます。音楽やリズムに敏感に反応し、それに合わせて体を適切に動かすことができるのは、小脳の働きによるところが大きいのです。
例えば、音楽に合わせてテンポよく手を叩いてみようとしても、上手くリズムに乗ることができなかったり、カラオケに合わせて歌うことが難しくなったり…。それまで趣味で楽しんでいた歌やダンスが、突然下手になってしまったな…と感じたら要注意。テンポよく早口でおしゃべりできていた人が、急にゆっくりになってしまった場合なども、脳の疾患が疑われます。

具体的に見られる脳梗塞の前兆症状は?

脳梗塞の前兆として、以下のような症状が表れます。

運動障害

片方の手・足・顔などが動かせなくなると感じたり、腕に力がうまく入らず持っているモノを落としてしまったりといった症状が表れます。痛みはないのに、体がいつも通り動かせなくなることが症状の始まり。日常的な動作が自由にできなくなるので、本人も周囲も比較的異変に気づきやすいのが特徴です。

感覚障害

圧迫して血流をとめていないにも関わらず手足の感覚がなくなったり、しびれたりするなどの症状が表れます。運動障害と同じく身体の片側だけに発症することが多いのが特徴。症状が表れた場所でどの脳に異変が起きているのかが分かります。

視覚障害

モノが二重に見える・視界が狭くなる・片方の目に膜がかかる・目の焦点が合わなくなるなどの症状が表れます。片方の目だけに表れ、症状が数秒から数分ほど持続するのが特徴です。

言語障害

言葉が出なくなる・ろれつが回らなくなるといった症状が表れます。今までは普通に話せていたのに、舌がよくもつれたり言葉に詰まったりした場合は要注意。特にラ行・パ行が発音しにくくなります。

バランス障害

真っすぐ歩けない・上手くリズムに乗れないといった症状が出るバランス障害。バランスや平衡感覚、リズム感覚を正常に保つ役割を担う「小脳」に異常が起こることで感覚にズレが生じてしまい、日常生活での動作が難しくなるだけでなく、めまいや頭痛、吐き気といった症状も現れます。

一過性脳虚血発作(TIA)とは

一過性脳虚血発作とは、一時的に脳の血流が悪くなる発作のこと。1時間程度で症状は消えてしまいますが、運動・感覚障害や話しにくいなどの脳梗塞に近い症状がでます。通称TIAとも呼ばれており、「T…TRANSIENT(一過性の)」「I…ISCHEMIC(虚血性)」「A…ATTACK(発作)」という意味が含まれる脳梗塞の前兆のひとつです。

一過性脳虚血発作(TIA)の原因

一過性脳虚血発作の原因は2つ。1つは脳血管に血栓が詰まってしまうことです。TIAの場合は血栓が小さいか血栓のつまりが弱いため、血液の流れが改善して症状がすぐに消失します。しかし脳梗塞になると詰まった血栓はもとに戻りません。
2つめの原因は血圧が急激に下がって起こる場合。動脈硬化の影響を受けて血管が狭まったり閉じたりするうえに、血圧の低下が加わることで、脳へ血液が流れにくくなる症状です。

一過性脳虚血発作(TIA)の現れ方と特徴

一過性脳虚血発作は20~30分で症状が収まるので、一時的な体調不良と勘違いして、気づかず放置してしまう人も多いようです。
そのまま放置してしまうと、15~20%の人が3ヶ月以内に脳梗塞を発症し、その中の半数以上は48時間以内に脳梗塞を発症すると言われている怖い発作です。
一過性脳虚血発作の中でも麻痺やしびれゆがみといった症状は、脳梗塞に発症する可能性が非常に高いと言われています。一過性脳虚血発作の症状が現れた場合は、脳梗塞の前触れと捉え、すぐに専門クリニックで診てもらうようにしてください。

FASTに関して

一過性脳虚血発作は「FAST」と呼ばれている方法でチェックすることができます。FASTはチェックする部位の頭文字を組み合わせたもの。FはFACE(フェイス)で顔の麻痺、AはARM(アーム)で腕の麻痺、SはSPEECH(スピーチ)で言葉の障害、TはTIME(タイム)で時間を指しています。
ここでFASTを使った一過性脳虚血発作のチェック方法をそれぞれ紹介していくので、ぜひ参考にしてください。

【FACE(顔の麻痺)】

顔の片側が動かなくなる・感覚がなくなったりする・片方の目が見えなくなる状態。

チェック方法

口を大きく開けて「イー!」と声を出しながら口角を上げます。その際に片側しか上がらない場合は要注意!

【ARM(腕の麻痺)】

腕に力が入らなくなり、持っているものを落としたりモノを掴めなくなったりする場合は腕が麻痺している状態だと判断できる。

チェック方法

手のひらを上に向け、両腕を肩の高さまで真っすぐ伸ばします。そのまま数十秒、目をつぶって両腕を上げた姿勢をキープ。もし片腕だけ下がり始めたら注意が必要です。

【SPEECH(言葉の障害)】

ろれつが回らなくなる状態。

チェック方法

短い文章を声に出してみましょう。言葉に詰まる、ろれつがきちんと回らないという状態であれば要注意です。

【TIME(時間)】

症状に気付いてから、病院へ行くまでの早さが重要です。FACE・ARM・SPEECHのチェックで一つでもできないものが合ったらすぐに脳神経科のある専門クリニックを受診しましょう。

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