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薬物療法 | 脳梗塞の治療法

脳梗塞の薬物療法について解説しています。

脳梗塞の治療法について やさしく解説

薬物療法

脳梗塞と診断されたら、よほど緊急の場合などは外科手術が適用されますが、大概は薬剤を点滴で投与にする方法などで治療が行われます。脳梗塞の治療は、症状が表れてからの時間経過によって投与される薬剤の内容が変わるそうです。ここでは、脳梗塞の薬物療法に使用される薬剤について時間経過ごとにまとめて紹介します。

症状と対策

脳梗塞を発症した直後の治療は、梗塞の進行を食い止め、血流が滞って機能低下を起こしてしまった細胞をどれだけ再生させられるか、がポイント。そのため発生直後の急性期は、血管を詰らせている血栓を溶かすための薬剤が投与されます。こうして早い段階で血流を再開させ、脳のダメージを最小限でとどめることが急性期の治療の目的となるのです。
梗塞の進行を食い止めて急性期がひと段落つくと、今度は再び梗塞が起こらないようにする再発予防が治療のテーマとして変わってきます。抗血小板薬などを用いて血液を固まりにくくし、血栓を作らないようにする治療が行われるわけです。
このように、脳梗塞の治療は急性期とその後の再発予防とに分けられ、時期によって使われる薬剤の内容なども異なってきます。発症からの時間や脳の状態を見ながら、医師が治療法と使用する薬剤を適宜選択して行われるのです。

急性期の治療に使用される薬剤

脳梗塞の発症直後に行われる治療として代表的なものは、「tPA(組織プラスミノーゲンアクチベーター)」と呼ばれるもので、血栓を溶かして血流を再開させるための薬剤を投与するものです。発症から3時間以内と極めて早期にのみ適用となる方法ですが、血管の詰りを溶かす薬剤としてはかなり高い効果が期待できるそうです。

このtPAは、2005年から保険適用された新しい治療法で、早い段階では高い治療効果を上げていますが、発症から時間が経った場合は血管がもろくなっていることもあり、薬剤の投与によって脳出血を起こす可能性もあります。医師の慎重な判断が必要となる治療法です。

そのほか、病変が1.5㎝を超す大きなアテローム血栓性脳梗塞が発症した場合、発症から48時間以内に抗凝固剤を投与することがあるそう。さらに、発症から5日以内に、血小板の血液凝固機能を抑える抗血小板療法が行なわれることもあります。

再発予防や慢性期に使用される薬剤

急性期が過ぎて慢性期に入ると、血栓を作らせない再発予防の薬剤が投与されます。

例えば、アテローム血栓性脳梗塞やラクナ梗塞の場合、アスピリンなど血小板の働きを抑える薬剤で血栓予防を行います。アスピリンは、鎮痛剤として一般的に用いられていますが、鎮痛目的で処方されるものとは使用量や薬のタイプが異なりますので、自己判断で用いることはせず、医師の診断に基づいて服用する必要があります。

ほかにも、不整脈などの心疾患が原因で起こる脳梗塞には、心臓で血液が固まらないようにするワーファリンなどの抗凝固薬が用いられる場合もあるそうです。

心原性塞栓症に使用される薬剤

心原性塞栓症とは、心臓疾患を原因として心臓の内部に血液が凝固して血栓ができ、血管を通って脳にまで運ばれることで起こる脳梗塞です。心原性塞栓症を発症した場合、再発防止のために血液の凝固を抑制して血栓ができにくくする抗凝固薬が用いられます。抗凝固薬には以下のような種類があります。

・ワルファリン
ワルファリンは、ビタミンKのはたらきを抑制することで、ビタミンKに依存する血液凝固因子を間接的に抑制する薬です。日本で長く使用されてきた薬であるため十分な実績があり、薬価が安く、飲み忘れにおけるリスクも比較的低いなどのメリットがあります。ただし、食事内容や体質によって薬効に影響が出るため、最低でも月に1回は血液検査を行って効果測定を行う必要があります。

・NOAC
抗凝固薬のうちワルファリン以外の新しい薬をNOACと総称します。NOACは、薬価が高い、飲み忘れリスクが高いという短所はあるものの、ワルファリンと同等かそれ以上の効果が確認されており、また血液検査を必要としないため管理が容易で使いやすいといった数々の長所がある薬です。以下にNOACの4剤(ダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバン)をご紹介します。

・ダビガトラン
ダビガトランは、血液凝固因子トロンビンを直接抑制する作用を持つ薬です。ワルファリンよりも再発防止効果が高いため、他に考慮すべき事由のない場合は優先的に用いられるケースが多くなっています。一方で、薬剤の形状が大きい点、また胃腸障害・腎機能障害と相性の悪い点などのデメリットがあるため、嚥下障害が見られる患者さんや腎機能障害のある患者さんには不適です。

・リバーロキサバン
リバーロキサバンは、活性化凝固第X因子のはたらきを阻害することによって血液凝固を抑制する薬です。1日に1回の服用で良いため、服薬の管理が容易です。腎機能および消化管への負担度も低く、ダビガトランが適用できない患者さんでも使用することができます。

・アピキサバン
アピキサバンは、リバーロキサバン同様に血液凝固因子のはたらきを直接阻害して血液の凝固を抑える薬です。アピキサバンは、腎機能の低下により他の薬剤が使用できない症例でも適用できるため、高齢・低体重の患者さんに向いています。

・エドキサバン
エドキサバンは、直接血液凝固因子に作用して血液の凝固を抑制するNOACの一種です。ワルファリンと同等の有効性・安全性が確認されており、出血のリスクが低く使いやすい薬です。一方で、腎機能に問題のある患者さんには使用できないため注意が必要です。

アテローム血栓性脳梗塞・ラクナ梗塞に使用される薬剤

アテローム血管性脳梗塞およびラクナ梗塞とは、動脈硬化によって脳の血管にダメージが蓄積し、ダメージを修復しようとして血小板が血管内で塊を作ることで血栓を生じ、脳梗塞を起こす症状のことを言います。これらの非心原性脳梗塞を発症した場合、再発予防として血小板のはたらきを抑制する抗血小板薬を服用します。抗血小板薬には以下のような種類があります。

・アスピリン
アスピリンは鎮痛解熱剤として広く用いられる薬ですが、血小板の凝集を抑える作用があることでも知られています。価格が安い上、低用量でも有効であるため使いやすく、特に懸念事項のない場合はまず検討される標準的な薬です。ただし、他の薬剤よりも出血の副作用が出やすく、胃痛、胃潰瘍や十二指腸潰瘍など消化管への影響がある他、ラクナ梗塞を発症した患者さんでは脳出血リスクが高くなりますので注意が必要です。

・シロスタゾール
シロスタゾールは、血小板の凝集を抑制する効果のほか、動脈硬化を抑える効果、血行改善などの効果も期待できる薬です。アスピリンが適用できないラクナ梗塞の症例でも安全に使用でき、脳卒中の再発予防効果がアスピリンよりも優れていることがわかっています。一方で、頭痛、動悸、頻脈といった副作用を生じる場合があります。

・クロピドグレル
クロピドグレルは、アスピリンよりも優れた血小板凝集抑制作用を持つ薬です。有効性と安全性が高く、副作用も比較的少ないため、高齢、高血圧、糖尿病、喫煙者、心疾患・末梢動脈疾患、脳卒中の既往歴のあるケースなど、他の薬剤の服用が適さない高リスクの例で積極的に使用されます。

脳梗塞の内科的治療上の注意

脳梗塞の内科的治療は、外科的治療に比べると患者さんの肉体的負担が軽い反面、ときに脳内出血や消化器官障害など重い副作用を招く恐れがあります。そのため、脳梗塞の投薬治療を受ける際には、正しい服薬と定期的な診察・検査によって血液の状態を正しくコントロールすることが求められます。

・抗凝固薬の場合
ワルファリンにおいては、食事の内容によって薬の効果が影響されます。納豆・青汁などの禁忌食材、緑黄色野菜の大量摂取は避け、医師の指示をよく守って生活することが大切です。

また、飲み忘れや飲み過ぎにもよく注意しなくてはなりません。抗凝固薬は症状に応じて投薬量が随時変更されるため、毎日投薬量が変えられる場合もあります。誤った量の薬を飲んでしまった、1日以上飲み忘れてしまった、という場合には自己判断で処理せず、必ず主治医の指示を仰いでください。

・抗血小板薬の場合
抗血小板薬は、食物や体質によって効果に影響を受けることがほぼないため、抗凝固薬ほどの服薬上の制約はありません。ただし、自己判断での服薬中断や飲み忘れは危険です。また、アスピリンを処方されている場合、頭痛鎮痛剤として市販されているアスピリンを代用的に服用することはできません。薬が不足したら必ず医師の診察のもと処方を受けてください。

・飲み合わせについて
抗凝固薬、抗血小板薬共に、他の薬剤との飲み合わせが薬剤の効果に影響して何らかの副作用につながることがあります。他の医療機関を受診して薬剤の処方を受ける場合には、必ず前もって脳梗塞の内科的治療を受けていることを自己申告してください。

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