よくわかる脳梗塞の予防・治療Navi

【脳梗塞の再生治療】血管を誘引するスポンジ形状の人工細胞足場を開発

これでコワくない! 脳梗塞の予防&治療の最前線

脳梗塞の治療法について やさしく解説

人工細胞足場

脳梗塞で損傷した部分に血管を誘引する「人工細胞足場」

2017年5月、東京医科歯科大・名古屋市立大の研究グループは、「脳梗塞で失われた脳の領域に血管を誘引することのできる『人工細胞足場』の開発に成功した」と発表しました。近年、失われた脳細胞を復活させる再生医療の研究が盛んに行われ、画期的な治療方法になると期待されています。人工細胞足場の登場は、この治療方法を一歩前進させるものと考えていいでしょう。

外科手術

脳梗塞の治療とは

脳梗塞の治療は、数年前まではほぼふたつに限られていました。

  • 発症後数時間以内に血栓を溶かして血流を再開させ、被害を最小限に止める
  • 脳梗塞による後遺症をリハビリによって回復させる

血栓とは血管をつまらせている血の塊のことです。この1の段階を過ぎてしまうと詰まっているところから先へは血液は流れず、脳細胞の一部が死んでしまいます。そのダメージを受けた部分次第で、言語機能や運動機能などが失われます。いったん死んでしまった細胞は再び作られることはなく、脳のほかの部分がいくらか代理をするだけです。このため、2のリハビリをやっても失われた機能が完全に元に戻ることはありません。

再生医療の登場は損傷した脳の回復に新たな可能性を

再生医療の登場で、失われた部分の脳細胞が元に戻る可能性が出てきました。

今のところまだ実験段階ですが、再生医療による脳梗塞の治療には、細胞分裂が盛んで筋肉や臓器などいろいろなものに分化する能力の高い細胞が使われています。これを幹細胞といい、この幹細胞が失われた脳細胞をもう一度作り直すのです。

脳梗塞を起こした部分では脳細胞だけではなく、血管も失われています。そこにつながる新しい血管ももう一度作り直さなければいけません。ところがこれまでは、新しい血管を周辺から伸びてこさせる方法がありませんでした。

損傷した脳の部分に血管を誘引できる「足場」

東京医科歯科大などの研究グループは、血管内皮細胞(血管の内側の表面を作る細胞)が作られる際に、細胞足場(細胞の分化を促し、組織を再生させる土台)として働くたんぱく質「ラミニン」に注目しました。

これをスポンジ状に作り、さらにやはりたんぱく質である「血管内皮細胞増殖因子(VEGF)」を結合させました。VEGFは血管内皮細胞にある受容体と結びつき、すでにある血管から新しく誘引させる働きがあると考えられています。スポンジにほかのたんぱく質を結合させるのには、化学合成(化学)と遺伝子工学(生物学)の手法が使われています。こうやって作られた材料には、「VEGF結合ラミニンスポンジ」の名前が付けられました。

マウスによる実験では、このVEGF結合ラミニンスポンジを使うことで残っている周辺の血管から脳梗塞部分へ新しい血管が伸びて枝分かれし、神経細胞にまでつながることが確認されています。

参照元:“Affinity-Immobilization of VEGF on Laminin Porous Sponge Enhances Angiogenesis in the Ischemic Brain” (VEGFをアフィニティー結合させたラミニンスポンジが虚血脳の血管新生を促進する)

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