よくわかる脳梗塞の予防・治療Navi

幹細胞を脳に移植する脳梗塞再生医療

これでコワくない! 脳梗塞の予防&治療の最前線

脳梗塞の治療法について やさしく解説

再生医療を使った新たな脳梗塞治療法

北海道大病院(札幌市)で再生医療を使って、新しい形の脳梗塞の治療が始まりました。

幹細胞を直接に脳の損傷部位に移植

最初に脳梗塞になった患者自身の骨から骨髄液を採取します。この液の中から幹細胞だけを取り出し、3〜5週間かけて2千万〜5千万個まで培養した後、脳の損傷した部分の周辺に直接戻します。

幹細胞は、盛んに分裂するだけではなく、筋肉や神経・臓器などに分化する能力の高い細胞です。うまく作用すれば、失われた脳細胞をもう一度作り直すこともできます。

今回の北大病院の方法でも、脳の損傷した部分に集中的に幹細胞を送り込むことで、この幹細胞が脳細胞へと変化したり、残っている脳細胞の分裂・分化をうながし、損傷部分を再生すると期待されています。

幹細胞を利用した脳梗塞の治療は、すでに札幌医科大学病院が2013年春に臨床実験を始めました。骨髄液から幹細胞を取り出し、培養するところまではほぼ同じです。ただしその後は、点滴を利用して幹細胞を腕の静脈に戻すだけです。

幹細胞には自然と傷ついた組織に集まる習性があります。札幌医科大の方法では血液中を巡っているうちに、脳の損傷した部分に来るのを待たなければいけません。今回の北大病院の新しい方法では、損傷した脳の部分に直接幹細胞を送り込みますので、より早く効率的に脳細胞が再生されることが期待されます。

臨床現場での応用を期待

ただ、北大病院でも治験が始まったばかりで、2017年11月現在、治療を受けているのはまだ2人しかいません。ひとりは同年8月に、もうひとりは11月上旬に脳内に増殖した幹細胞を注入しました。今後1年にわたり、安全性や効果などのデータを取る予定です。

現在、この治験に参加する患者を募集しています。最終的にはこの2人を含め6人の患者に対して実施することになっています。条件は「発症後14日目までに北大病院に転院できる」と「麻痺が比較的重度」です。

脳梗塞は日本では年間約30万人が発症し、死亡率は高く、命をとりとめても後遺症が残ることが大半です。高齢化が進む2025年には脳梗塞の後遺症による要介護者が520万人にもなるとの試算もあります。

脳梗塞は脳の血管が詰まっている状態です。手足を動かすなどの運動機能・言葉をやりとりする言語機能を担当する脳の部分に血液や酸素が届かなくなり、それらの機能が大きく損なわれます。

再生医療が登場する以前の脳梗塞の治療では、損傷した脳細胞を再生させることはほとんど不可能でした。治療といいながらも、実際にはリハビリでいくらか機能を取り戻すだけです。再生医療の登場でようやく脳の損傷部分を再生する試みが始まったわけです。

参照元:朝日新聞, 2017年11月26日

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