よくわかる脳梗塞の予防・治療Navi

脳梗塞後に出現する貪食細胞が脳の修復に関与

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脳梗塞の治療法について やさしく解説

貪食細胞

脳梗塞後の死細胞を取り除く貪食細胞

脳梗塞では脳内の血管が詰まり、そこから先の脳細胞がダメージを受けます。中には完全に死んでしまう脳細胞もあり、取り除かないとさらにダメージが広がります。

このじゃまになるものを取り除く作用が貪食(どんしょく)です。山梨大学・生理学研究所などの研究グループは、今までにわかっていたのとはまた別の細胞がこの貪食にかかわっていることを突き止め、2017年6月、イギリスの科学雑誌、『Nature Communications』電子版などで公表しました。(※1)

脳梗塞後の回復のじゃまになるものを取り除くものとは?

脳梗塞でダメージを受けた部分には、その中心部分で回復不可能なものと、その周辺の血流が戻るなどの状況次第で回復するものがあります。前者を「梗塞巣 (コア)」、後者を「傷害辺縁部 (ペナンブラ)」と呼びます。

このどちらも、完全に死んでしまった神経細胞などを放置すると、回復が進みません。そのため、脳内で免疫を担当する細胞「ミクログリア」が特に梗塞巣に集まり、死んだ細胞を取り除きます。「取り除く」といっても、外に放り出すのではなく、自身の中に取り込んで分解します。「エサとしてムシャムシャと貪り食う」というイメージから、この作用は医学用語でも「貪食」といいます。

ただ、今まではミクログリアが傷害辺縁部でも働いているのかどうかはよくわかっていませんでした。

第二の貪食細胞「アストロサイト」を発見

研究グループはマウスを使って人工的に脳卒中を起こさせました。その観察で、ミクログリアに加え、「アストロサイト」という細胞が貪食を行うことを発見しました。

アストロサイトは通常時は神経細胞の支持細胞で、栄養供給をするなどほかの神経細胞の働きを助けるのが主な役割です。脳梗塞などの脳卒中が起きると、変身し貪食を始めました。この変身後のものには「貪食性アストロサイト」との名前が付けられました。

しかも、ミクログリアと貪食性アストロサイトではしっかりとした役割分担があります。ミクログリアが特によく働くのは発症直後で、しかも場所は梗塞巣そのものです。一方の貪食性アストロサイトは発症後1週間ぐらいをピークとして、ゆっくりと傷害辺縁部に集まります。そこの部分で死んだ神経細胞やシナプスを貪食していました。

今回の研究の結果、ABCA1という分子が出現し、アストロサイトが貪食性に変身するのを促していることもわかりました。「貪食性アストロサイトが傷害辺縁部の環境整備を担当しているらしいことと、その分子上のメカニズムがわかった」と考えていいでしょう。実際の医療上の利用はまだまだ先ですが、脳梗塞の傷害辺縁部を修復し、再構築する治療方法の開発に一歩近づいた可能性があります。

(※1)Nat. Commun. 2017.6

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