よくわかる脳梗塞の予防・治療Navi

脳梗塞の治療法

脳梗塞の主要な3つの治療法を解説しています。

脳梗塞の治療法について
やさしく解説

梗塞を食い止め、障害を残さない治療が中心

脳梗塞の治療は発症してすぐの対応と、症状がひと段落してからの対応が多少異なります。

初期は外科治療や薬物療法で、梗塞部分の進行を食い止め、できるだけダメージを少なくするための治療が行われます。発症直後の治療が落ち着いた慢性期には血栓を再発させないための予防的な薬剤を投与しながら、できるだけ後遺症を残さないように生活の質を保つためのリハビリ治療を行います。リハビリは関節の拘縮や筋肉の委縮を防ぐためにも、歩行訓練やストレッチなどを日常生活の中に取り入れながら毎日繰り返して行います。

このページでは、それら脳梗塞の治療について代表的なものをまとめて紹介しています。治療の際の注意点なども解説していますから、もしもの時の生活の参考になさってみてください。

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薬物療法

脳梗塞では最も一般的に行われる治療法です。発症してすぐの急性期は、血栓を溶かして血流を再開する効果のある薬剤が使用されますが、慢性期になると血液を固まりにくくして血栓を作らせない薬剤などが投与されます。

症状と対策

脳梗塞を発症してすぐ、3時間以内ならば、詰まってしまった血栓を溶解させる治療法として、tPAという薬剤の投与が検討されます。この薬剤は2005年に日本で保険適用されたばかりの新しいもので、このtPAの保健承認によって脳梗塞の治療が格段に変わったとされているほど画期的な方法です。tPAは発症後すぐの段階なら血流を再開させることができるので、脳のダメージを回避する効果がかなり高いとされています。しかし、時間が経過して血管がもろくなっている状態で使用すると、脳出血を発症してしまうリスクが高まります。tPAの投与は、時間経過や脳の状態を医師が判断し、慎重に行われなければなりません。

そのほかにも、特にアテローム血栓性脳梗塞やラクナ梗塞の場合、発症から48時間以内に血液が固まるのを抑える抗凝固剤として、アルガトロバンなどの薬剤を点滴で投与する、抗トロンビン治療が行われます。心原性の脳梗塞の場合は、ヘパリンという薬剤で血栓を予防する治療が主に行われるようです。さらに、脳にむくみがある場合は抗脳浮腫薬であるグリセオールなどが使用されるほか、治療後の後遺症を軽減するため、脳を保護する薬剤が使用されるケースもあるそうです。発症直後の急性期は、これらの薬剤をいくつか組み合わせて、脳の状態を安定させ、ダメージが進行しないよう、少しでも血流を再開させる方法を試みます。初期の薬剤の選択は、治療後の後遺症の有無や重症度が左右される重要な局面であると言えます。

発症して2週間程度経過し、初期治療がひと段落ついたら、再び血栓ができて脳梗塞を発症しないよう、血栓が形成されないようにする薬剤を服用します。例えば、鎮痛薬として有名なアスピリンは、抗血小板薬としても効果があり、脳梗塞の治療用に薬剤の量が工夫された剤型のものを処方されます。血小板が集まって血栓を作るのを抑制するので、アテローム血栓性脳梗塞やラクナ梗塞を発症した後の人に効果が高い薬剤です。

脳梗塞の治療と聞くと、開頭して外科手術をするのでは…?とイメージしがちですが、実はほとんどのケースでは点滴による薬物投与がメインとなります。手術など目立った処置を行うことなくベッドに安静にして点滴を受けるだけの治療なので、「これで助かるの?」と不安に感じる方もいるかもしれません。ここはグッとこらえて安静を心がけ、投薬の内容やタイミングなどは医師の判断を仰ぎましょう。

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外科手術

脳梗塞の治療法として行われている外科手術は、従来からある開頭してのバイパス術のほか、血管内でできるカテーテル挿入術やステント留置術など。できるだけ患者の負担が少ないよう、血管内治療を優先して行われているそうです。

症状と対策

脳梗塞の治療法として外科手術が用いられるのは、かなり限定された状況になった場合のみです。頭蓋骨の一部を開き脳の血管を直接切る、クリッピングして新たな血管を通すなどの手術は、患者への負担とその治療効果のバランスを考慮してそれほど行われなくなってきているそうです。

開頭手術が行われるのは、脳の表面の比較的大きな血管に詰りが見られる場合のバイパス形成手術がほとんど。かなり限定的なケースのみで、それ以外ではあまり行われません。

そのほか、開頭せずに血管の詰まりを改善する方法として、頸動脈血栓内膜切除術という方法が選択される場合もあります。これは、脳へ血液を届ける太い血管である頸動脈にアテロームが原因で動脈硬化が生じているケースのみ行われる手術。もう少しで血管が塞がってしまう危険がある場合や、そのアテロームが脳の血管に飛ぶ可能性がある場合などは、頸動脈周辺を切除して直接血管内の詰まりを取り除く手術を行うのです。抗血栓薬のヘパリンを投与しながら頸動脈を切除したら、血管内のプラークという詰まりの素をキレイに掃除して血管を縫い合わせて終了。頸動脈の血流量はかなり多いので、あらかじめ血流を止めたり血流を確保するための管を用意したりしてから手術を行うそうです。この手術も、適用となるのは頸動脈に限られているので、かなり限定的な手術です。

さらに、開頭手術や頸動脈を切開する手術の代わりに行われるようになってきたのは、血管内で行われるカテーテルやステント留置術です。動脈硬化が進んで、血流が阻害されつつある頸動脈の詰まりを改善する手術法で、太ももの大きな動脈からステントという細い管のようなものをつけたカテーテルを挿入します。頸動脈の詰りの部分までカテーテルが到達したら、ステントだけを血管内に置いて血管を広げて固定します。

ステント留置術についても、頸動脈などの比較的大きな動脈にのみ適用となる手術法です。大きな切開を行う必要がなく、局所麻酔で行える方法なので、患者さんにとっては負担が少ない治療法と言えます。ただし、まだ新しい方法なので、ノウハウや技術が確立されているわけではなく、頸動脈に詰まりが生じているすべてのケースで適用されるわけではありません。また、ステントやカテーテルを血管内に挿入した時点で、アテロームがはがれて脳まで流れてしまい、脳梗塞を起こしてしまう危険があることも認識しておく必要があります。

いずれの方法にせよ、外科手術が行われるケースは脳の表面にある比較的大きな動脈や頸動脈などの太い血管に限られています。ただし、外科手術は脳内部にある細い血管などの梗塞には適していないので、脳梗塞の治療法としては限定的だと言えるでしょう。

 

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リハビリテーション

脳梗塞の治療には、リハビリは不可欠。手足の麻痺やしびれを少しでも緩和し、予後の生活をより良いものにするためには、発症直後から手足を動かし、少しずつでもリハビリを開始しておく必要があります。

症状と対策

脳梗塞は脳の機能低下に伴って、全身に後遺症や障害が残る可能性が高い病気です。しかし、事故などによる手足のケガとは違い、発症後比較時期からリハビリを行うことで、少しでも障害を軽くすることが可能です。

脳梗塞による脳のダメージは、発症後1日ほどでほぼ確定するそう。どの部分にどのような障害が出るのかはある程度想定できますし、意識障害などの問題がない場合は、急性期の薬物治療などを行いながらすぐにリハビリを開始できます。最も早いケースでは発症後1日以内に、手足の曲げ伸ばしやマッサージなどを行うそうです。脳からの神経伝達の障害なので、骨折や裂傷などのケガとは違って手足自体には問題がなく、すぐに始められるのも脳梗塞のリハビリの特徴です。

脳梗塞の症状として最も多いのは、手足のしびれや感覚麻痺、動かしにくさなど。障害の度合いは脳の損傷具合によるところが大きいので、それらの症状すべてが、リハビリを行うことで元の状態にまで回復するという確証は、残念ながらありません。重度の脳損傷が起こると、リハビリの効果がそれほど表れない場合があるのは事実です。

しかし、リハビリを行わないでそのままにしておくと、筋肉の委縮が早急に進行してしまい、関節が曲がったまま固定されてしまう拘縮という症状が出てしまいます。拘縮が起こってしまうと、元に戻すのが難しくなり、生活にも支障をきたしてしまうことに。症状をさらに進行させることを防ぎ、少しでも機能が回復するよう、できるだけ早く適切な方法のリハビリを行うようにしましょう。

脳梗塞のリハビリは、基本的には2本立てで行います。ひとつは麻痺や運動障害を改善するためのリハビリ。もうひとつは、障害が起きていない正常な機能を使って生活するためのリハビリです。例えば、半身に運動障害が出ている場合は、障害が出ている側の手と足を使った歩行や、日常の作業訓練を行うのと同時に、車いすで生活するためのリハビリも進めていきます。

具体的には、横になった状態での手足の関節や、指の曲げ伸ばしから開始し、頭を上げても問題がないことが分かり次第、体を起こして座るための訓練を行います。車いすに30分程度座れるようになったら、病院の訓練室などで麻痺した手足の動きや、自分で起き上がって歩くためのリハビリを中心に進めて行きます。横になった状態から体を起こす、立ち上がる、杖や歩行具を使って実際に歩くなどの訓練を行います。

さらに、退院した後も、訓練で行った事を日常生活の中に取り入れながら続けます。障害が出ている部分の関節が硬くならないように、毎日必ずストレッ チして筋肉を伸ばすことや、椅子から立ち上がったり座ったりを繰り返し行います。また、手足の筋力をできるだけ弱らせないよう、家庭の中でも仕事や役割を持って生活したり、無理のない範囲で外出できる機会を作ったりして、積極的に体を動かすことを心がけると良いでしょう。

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