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パワーリハによる機能改善について

元の生活を目指して……脳梗塞のリハビリ治療

脳梗塞後のリハビリ「パワーリハビリテーション」

脳梗塞発症後のリハビリとして、「パワーリハビリテーション」が知られています。略してパワーリハです。ここでは、パワーリハとは何か、どれだけの効果があるのか、パワーリハの体験談などをまとめています。

パワーリハとは

パワーリハとは、老化や病気などによって低下した運動機能・心理活動を改善に導くための、日本生まれの運動プログラム。心身の改善を実現することで、本人のQOL(生活の質)を高めることを最終目的としています。これまで全国各地の自治体や施設において実践されてきたパワーリハですが、いずれの場所においても目覚ましい改善効果が確認されています。

パワーリハという名前を聞くと「筋力増強によるリハビリ」をイメージしますが、一般によくある筋肉増強リハビリとは異なり、パワーリハは「使っていない筋肉を目覚めさせるリハビリ」。筋肉を鍛える負担がほとんどなく、どんな方でも取り組みやすいプログラムであることが大きな特徴です。

パワーリハの対象者は、要介護1~5。つまり、どんなに重い症状の方でもパワーリハの対象です。
なお、パワーリハに参加するのは脳梗塞等による片麻痺を有する方々が多めですが、他にも、パーキンソン病、認知症、腰痛・膝痛を患う方々なども参加。いずれの症状の方でも、高いリハビリ効果が確認されています。

パワーリハの効果

「NPO法人 介護予防・自立支援・パワーリハビリテーション研究会」が刊行した『自立支援 パワーリハビリテーション No.7』によると、パワーリハを実践した多くの方々が、運動機能面・精神面の両面において極めて顕著な改善を示したとのこと。脳梗塞を発症して片麻痺を有するにいたった方々に関しては、パワーリハをスタートして約3ヶ月で上下肢の運動機能が著しく向上し、1年以上の長期にわたって改善状態が維持されています。中には、入浴を含めた様々な日常動作において介助不要となり、自立した日常生活を送ることができるまで改善した方もいらっしゃるとのことです。

また、統計対象者のうち約75%の方は、運動機能の改善の影響から精神面が明るくなったとの効果も確認されています。運動機能の改善によって神経におけるセロトニンの分泌量が増加し、うつに近い症状が改善されてきたためと推測されています。また、反復運動の効果で、麻痺を起こした側の運動機能の改善例も多く見られましたが、不能と思われた側の運動機能の回復により、本人に自信が生まれたことも精神面に良い影響をもたらしたようです。

なお、神奈川県川崎市が取り組んでいる「介護予防・パワーリハ事業」において、パワーリハの実践前後での変化を集計したところ、要介護度が改善した方が、全体の実に81%にも達しています(平成13年~15年度・対象者79名)。さらに、平成16年度のパワーリハ市町村モデル事業においては、参加者全員の要介護度が改善した自治体も登場しました。

家族ができること

パワーリハを行なうのは、家族ではなく患者さんご本人。よって、リハビリそのものにおいて、家族が直接何かをすることはできません。ただ、パワーリハの専門家に、すべてを任せきりにすることのないようにしましょう。パワーリハとはどんなものか、何を目的に行っているのか、どんな理論が背景にあるのかなど、リハビリの根幹をしっかりと理解されておいたほうが良いでしょう。

また、パワーリハの効果で運動機能が改善してきたら、洗顔や着替えなどの日常動作を、なるべくご本人にやってもらうよう促してみましょう。日常動作で自立することによって、精神面が明るくなってくるはずです。

ご本人とお話をすることも大事なリハビリです。話すことが可能な状態であるならば、どんどん話をしてみましょう。パワーリハを通じて見られてきた効果を家族の方から伝えることも、ご本人の精神面に良い影響を与えるでしょう。

パワーリハ経験者の体験談

61歳男です。平成17年に脳梗塞を発症し、その後遺症として左半身麻痺と診断されました。要介護度は1。発症から半年後にパワーリハに参加。パワーリハ開始前、麻痺を起こした側の握力は3.5kgだったのですが、開始3ヶ月後には6.0kgをマーク。2年半後に測定した際も7.0kgと、改善した握力が維持されていました。あわせて、杖なしで歩くことができるようになるなど、身体機能のあらゆる面に著しい改善が見られました。着替えや洗顔などの日常動作がだいぶ楽になったこともうれしかったですね。身体機能が良くなったせいか、自他ともに「性格が明るくなった」と感じています。同じ施設の利用者の方々や職員の方々などと、楽しくコミュニケーションを取っています。今では麻痺を起こした側の手で、趣味の将棋が打てるまでになりました。

先輩はどのように立ち向かったのか

事例は異なりますが、脳梗塞に立ち向かった先輩方や、その御家族がどんな取り組みをされていたのかを知ることはとても大切です。脳梗塞で倒れ、現在は復帰してプロスカウトをされている、元プロ野球選手の「柏原純一」さんと奥様の体験談をご紹介いたします

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