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脳梗塞の後遺症による精神的な悩みについて

精神的な悩み

脳梗塞による後遺症を抱えていると、本人にも介護をしている家族にも、精神的な悩みが生じてくるものです。精神的な悩みは、考え方や環境、人とのつながりを変えるだけで、解消できる可能性もあります。

脳梗塞発症前と比較しない

脳梗塞による後遺症のリハビリは、とても長く苦しい戦いとなることもあります。そんなときに、「いつまで経っても回復しない」「いつまで続けなくてはいけないのだろうか」と、思い悩んでしまうことがあります。

実際には、脳梗塞を発症した直後に比べれば、後遺症の症状は確実に快方に向かっているはず。ですが、本人が思い描いている回復は、「脳梗塞発症前の自分」の状態です。後遺症を完全に回復させるには時間がかかりますし、100%の状態まで回復させることは難しい可能性もあります。そのため、脳梗塞発症前の自分になかなか近づかないことに、苛立ってしまうのです。

  • 現状を楽しく生きようという想い
    大切なことは、脳梗塞という大きな病気を発症して、そこから違う人生になったのだという事実を受け入れることです。後遺症が残っていても、現在の毎日を楽しく生きようという想いがあれば、精神的に立ち直ることができます。そのため、趣味や習い事など、新しいことにチャレンジしてみるのも、ひとつの方法です。後遺症が残っていても、できることはたくさんあります。それによって充実感が生まれ、楽しみが見つかることもあるでしょう。
  • 家族に対して感謝の言葉を伝える
    また、後遺症が残ったことで、家族に対して申し訳ない想いを抱いてしまう方も多いようです。「自分のせいで大変な思いをさせている」「助けてもらっても恩返しできない」といった想いを抱くことで、精神的な悩みを助長させてしまいます。そういうときには、家族に対して感謝の言葉を伝える、自分の気持ちを言葉にする機会を増やしましょう。そうすることで気持ちが伝わりますし、気持ちを軽くすることができます。

腹立つのも当たり前

後遺症が残った家族を介護していると、気分が悪いときなどは、腹が立つこともあるものです。毎日の介護の中でストレスを溜めこんでしまうと、そのストレスが爆発してしまうことがあります。ですが、後遺症が残った身体は思うようにコントロールすることができず、本人が一番腹立たしく思っているのです。

  • 人間なら苛立つこともあるのが当然
    家族の介護を続けていれば、苛立つこと、腹が立つこと、怒鳴りたくなることは、必ず誰しもが経験します。ですが、そう思ってしまったことで、自己嫌悪に陥ったりしないでください。後遺症がない家族を相手にしていたとしても、腹が立つことはたくさんあるでしょう。「人間なのだから当然だ」と割り切ってしまえば、その怒りの気持ちをやり過ごすことができます。
  • 絶対にしてはいけないことは暴力
    怒りを感じることがあるのは当然ですが、その感情に任せて暴力を振うことは絶対にやめてください。脳梗塞の後遺症が残っているということは、転倒などの危険性も極めて高い状態です。そのような状態の相手に暴力を振るえば、ちょっとしたことであっても重大な事故が起きる可能性があります。怒りを感じたときは、深呼吸をする、その場を離れるなど、冷静になる時間を作ってください。

同じ境遇の仲間をもつと勇気を貰える

後遺症のリハビリに負けないためにも、精神的な悩みを抱えないためにも、気持ちを分け合える仲間を持つことはとても大切です。同じように、脳梗塞の後遺症と戦っている人だとベストですが、他の病気と戦っている人でもよいです。同じような境遇に立たされて、疾患という悩みを共有できる仲間を見つけることができれば、お互いに励まし合うことができます。

  • ピアグループでのリハビリは効率的
    同じ疾患である、原因が同じである、後遺症の症状が似ている、生活環境が似ている。このように、類似点を持った人が集まって一緒に行動をすることで、リハビリの効果が格段に上がると言われています。元々、成績が似ている学生をグループにして授業を行ったところ、従来よりも成績の伸びが良くなった、というところから得た発想です。同じような症状を持つ仲間と交流することは、精神的な悩みを解消するだけではなく、リハビリの効果にも影響を及ぼします。
  • ピアグループを利用したデイサービス施設が存在する
    ピアグループを取り入れた施設は、脳梗塞の後遺症と闘っている人たちのためにも用意され始めています。そのような施設で、同じ後遺症を抱える人たちと一緒にリハビリができれば、回復が高まる可能性は十分に考えられます。また、そのような仲間が頑張っている姿を見て、勇気を貰うこともできるでしょう。
  • 介護を頑張り過ぎないこと
    介護には休みがなく、いつ終わるのかもわかりません。最初は、家族のために完璧に介護をしよう、頑張ろうと思っていても、毎日介護をしていると、精神的にも肉体的にも疲れてしまいます。そして、その疲れによって介護が十分にできないと、自分自身を責めてしまうようになるのです。これによって、介護をする側の精神的な悩みが大きくなることがあります。
  • 介護うつについて
    介護を頑張り過ぎる完璧主義の人ほど、うつ症状や燃え尽き症候群などを発症しやすいものです。家族の介護を一人でこなしながら、生計を支えるために仕事をして、家事をする。そのような生活を続けていると、疲労やストレスが溜まり、考えも悲観的になります。介護うつになると、仕事や介護に支障をきたすだけではなく、介護者の精神が壊れてしまう可能性もあるのです。さらに、介護されている家族からも、頑張り過ぎているのではないかと心配されるケースもあり、お互いにとってマイナスになります。
  • 介護を頑張り過ぎないための方法
    介護うつにならないためには、行政のサービスを利用するのが最善の策です。ほとんどの方が介護保険の申請はしているでしょうが、その他、訪問介護のサービスの利用、デイサービスやショートステイの利用などの方法があります。このようなサービスを上手に活用すれば、介護から離れて自分の時間を確保することもできますし、ゆっくりと体を休めることもできるでしょう。

血縁による介護サポートは期待しない

脳梗塞を発症して後遺症が残れば、要介護状態になる可能性は非常に高いものです。一緒に住んでいる家族が介護をすることになりますが、「親戚や子供たちも手伝ってくれるだろう」と考えている方は多いのではないでしょうか。ですが実際は、親戚や子供たちが手伝ってくれない場合も多いもの。それによって、介護者がイライラしてしまったり、落ち込んだりする精神的な悩みがあります。

  • 人にはそれぞれ自分たちの生活がある
    家族なのですから、少しくらいサポートしてくれてもいいのでは、と思われるかもしれません。ですが、人にはそれぞれ自分たちの生活や仕事があります。みんな、自分たちの生活をこなして、守ることで精一杯なのです。ですから、親戚や子供たちが手伝ってくれることを最初から期待しない方がよいでしょう。助けてくれればありがたい、という気持ちに切り替えることで、この悩みを解消することができます。
  • 身近な人のサポートを受け入れる
    血のつながった親戚や子供たちよりも交流がある身近な人の方が、介護のサポートを行ってくれるというケースも見られます。特に、仲良くしている友人や、親しい近所の人などは、色々助けてくれることもあるかもしれません。そういう場合は、その好意に感謝して、素直に受け入れることが大切です。

同じ境遇の体験談からは得るものがある

同じ境遇にいる人の体験談を知ることによって、後遺症を抱えた本人も、その介護をしている家族も、気づきを得ることができる場合があります。脳梗塞を含む脳血管疾患の総患者数は、平成26年10月時点で1,179,000人です。また、介護が必要になる疾病としては、脳卒中が1位です。(※1)

つまり、日本だけで見ても、脳梗塞を発症した人はかなりの数に上りますし、その後遺症と戦っている人の数も同様です。そして、脳梗塞の後遺症と戦っている人の数よりも、その介護を行っている家族の人数は多いはず。同じ境遇にいる人の体験談を知ることは、比較的容易です

体験談を知ることで励みとなる
体験談にはさまざまな内容のものがあります。多くの場合、そこから何か得られるものがあり、リハビリや介護の励みとなることが多いものです。
例えば、完治は難しいと言われていたにもかかわらず、見事に後遺症を回復させた人の体験談。障害を負いながらも仕事を見つけ、社会復帰を果たすことができた人の体験談。家族の介護を行いながらも、第一線で仕事を頑張っている人の体験談。介護者がこれらの体験談を知ることで、介護を頑張るための励みになるでしょう。また、リハビリを頑張る本人にとっても、これらの体験談はプラスになるものです。

(※1)厚生労働省『平成26年(2014)患者調査の概況』

介護で絶望を感じたとき:命より大切なものはない

先に、「介護うつ」について紹介しましたが、終わりの見えない介護を行っていると、命を絶ってしまいたいほどの絶望感に苛まれることがあります。実際に、介護うつになった人が自らの命を絶つというニュースは少なくありません。そのような最悪な事態が頭をよぎるのは、あなただけではないのです。

  • 絶望してしまったときには
    いつまでも続く介護生活に絶望してしまったときは、生きることに希望を持つしかありません。もちろん、生きることに希望が持てなくなっているから絶望するのですが、脳梗塞発症直後に比べて、後遺症は快方に向かってきていることでしょう。そのことに希望を見出して、これから先の未来に勇気を持ってください。
  • 生きることが最も尊い
    未来に勇気を持つといっても、介護に明け暮れる日々を送っていると、明るい未来は見えないかもしれません。例え好きなことをして気分転換をしても、根本的な悩みを解決することはできないでしょう。ですが、この先にあるかもしれない明るい未来は、生きていなければ実現できません。介護の辛さを乗り越えて、後遺症と戦っている家族をこの先も支えていくには、自分自身の気持ちや考え方を変えることが大切です。

友人は減っても新しい出会いがある

脳梗塞の治療を行って、リハビリを終えて退院する。多くの方は、退院した時点で完全に回復していて、脳梗塞発症前と同じような生活ができると思っています。そのため、退院しても不自由なことが多く、一緒に出かけることもままならないと知ると、徐々に友人とも疎遠になっていくものです。それまでは、一緒にショッピングに行ったり、飲みに行ったりという付き合いがあった人でも、全く連絡が来なくなることも珍しくありません。

  • 新しい出会いを大切にする
    脳梗塞により後遺症が残ると、友人の数はほぼ確実に減るでしょう。ですがその分、他のところで新しい出会いがあることも事実です。例えば、病院の先生や看護師、リハビリ専門職の方、介護職の方、リハビリテーションを行う中で知り合った仲間、病院への通院で顔見知りになる人。脳梗塞を発症することで、これほどまでに多くの出会いがあるのです。そして、その人との出会いによって、また別の人と出会える可能性もあり、どんどん輪を広げていくこともできます。
  • 人と出会うと世界が広がる
    病院やリハビリによって知り合った人は、友人というほど親しくはならないかもしれませんが、リハビリの息抜きとしても、世間話をするような相手がいることは大切です。知り合いを作るということは、新しい世界を広げるということ。特に、後遺症によって世界が狭まってしまうことは多いので、新しい出会いは大切にしたいものです。もちろん、脳梗塞を発症しても、変わらず友人でいてくれる人も大切にしてください。

完璧を求めない、自分を追い詰めない

仕事や家事に完璧を求めている人は多いでしょうが、介護で完璧を求めてしまうと、自分を追い込んでしまうことになります。特に、日本人には完璧主義の人が多いと言われており、完璧にできないことは恥ずかしいこと、という意識があるようです。さらに、人の期待に応えたいという気持ちも手伝って、自分で逃げ道を絶ってしまうことも考えられます。

  • 介護に完璧な状態を求めるということ
    仕事に完璧な状態を求めたとしても、労働時間は平均8時間で、週休2日制という場合が多いでしょう。家事は休みがありませんが、休憩しようと思えば休憩ができます。その点、介護には休日がなく、24時間体制でいつでも対応しなければなりません。夜も十分眠れないという可能性もあり、精神的にも肉体的にも、非常に負担の大きいものです。もし、介護をしながら仕事をしていて、家事もしなければならない状況であれば、完璧を求めることは不可能に近くなります。
  • 手抜きを上手に活用して
    介護を上手に行っていくためのコツとしては、手抜きを上手にすることです。先に紹介した「介護を頑張り過ぎない」ということにも通じますが、手を抜けるところを見つけることが大切になります。介護と家事を両立させている場合、洗濯の回数を減らす、目立たない部分の掃除回数を減らす、でき合いの食事を活用するなどの手抜きをすることで、悩みを軽減させることができます。

脳梗塞の発症からこれまで、そしてこれから

脳梗塞を発症したということは、その時点で命を失っていてもおかしくなかった、ということです。あなたの家族や大切な人は、そんな重大な疾患を乗り越えて、今もこの世界に生きています。そのことを考えると、介護やリハビリの厳しさ、後遺症が残ってしまった悔しさも乗り越えていけると思えるほど、その人がかけがえのない存在だと思えるのではないでしょうか。

  • 夫婦の間に築かれた強い絆
    特に、夫婦は一生を共にすると誓った二人だからこそ、切っても切れない強い絆で結ばれているもの。脳梗塞を発症したことで、その絆がより強くなったという方も多いのです。もし、関係性がぎくしゃくしているというご夫婦がいたら、恋人同士だったころのようにスキンシップをとってみることをおすすめします。
  • 脳梗塞発症から振り返って、これからの目標をもつ
    脳梗塞を発症してから現在までを振り返ってみると、それもあなたと大切な人との思い出のひとつです。そしてその中で、現在の後遺症の状態がどれほど回復してきているかを知ることもできると思います。振り返ってみると、二人の絆や再確認できますし、回復してきていることも実感できるものです。そして、そこから新たな目標を作ってみてください。「後遺症が回復したら二人で一緒にしたいこと」を考えてみれば、それに向かって前進していけるでしょう。

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