よくわかる脳梗塞の予防・治療Navi

脳梗塞・後遺症のリハビリのための川平法

脳卒中治療ガイドラインにも記載されている川平法

川平法は「促通反復療法」とも言われており、「脳卒中治療ガイドライン2015年」(※1)のリハビリテーション項目の中でも推奨されている治療法です。軽度から中等度の後遺症を持つ方に最適で、麻痺を改善させる効果についても証明されており、リハビリに大きな効果をもたらしています。

川平法が効果的なメカニズム

川平法で麻痺をした手足の動きが改善されるメカニズムは、脳内で失われた機能に新たに学習してもらい、学習を繰り返すことで習得に繋げるというものです。それぞれの工程について、順を追って詳しく紹介していきましょう。

・残った脳細胞が失われた細胞の代替をする

脳梗塞で脳細胞が死んでしまうと、その脳細胞が担当していた機能は失われることになります。そして、死んでしまった脳細胞は、もう二度と復活することはありません。ですが、死んでしまった脳細胞が担当していた役割を、他の脳細胞にしてもらうことは可能です。残っている複数の脳細胞が、死んでしまった脳細胞の役割を少しずつ担うのです。

・脳細胞が新しい役割を学習する

脳梗塞で脳細胞が死んでしまうと、その脳細胞が担当していた機能は失われることになります。そして、死んでしまった脳細胞は、もう二度と復活することはありません。ですが、死んでしまった脳細胞が担当していた役割を、他の脳細胞にしてもらうことは可能です。残っている複数の脳細胞が、死んでしまった脳細胞の役割を少しずつ担うのです。

脳細胞が新しい役割を学習する

残っている脳細胞が新しい役割を担当しようとしますが、その機能をどうやって働かせてよいのかわかりません。これまでにしたことがない役割を担当するのですから、できるようになるまで学習が必要です。介助者は、「促通」と呼ばれる反射や、電気刺激を利用して動きをサポートすることで、脳細胞にその動きを学習させます。

学習を繰り返して神経回路を強化する

手足を動かすことで脳に学習をさせますが、何回も繰り返して同じ動きを行うことで、その学習はより強固なものとなっていきます。人間が漢字や英単語を何回も書いて覚えるように、脳も繰り返すことでその役割を自分のものにしていくのです。平均で50~100回程度繰り返し、麻痺を回復に導きます。

川平法の詳しい効果について

川平法で、後遺症のある手足の麻痺が改善したという方は、かなりの数に上ります。それだけ効果の高い治療法であり、さらに即効性もあると言われます。脳に学習させることで動きを改善するため、脳がすぐに動きを覚えた場合には、1回で効果が現れることもあるそうです。川平法を行う前と後では、筋肉や関節の可動が良くなっているケースはよく見られます。

持続期間は?

すぐに効果が現れることもある川平法ですが、治療開始直後はすぐに効果が消えてしまうことが多いでしょう。平均で2~3日で効果がなくなり、早い人では数分間の内にまた動かなくなってしまいます。

これは、メカニズムの3番目で紹介したように、学習を繰り返して、神経回路を強化することが大切なのです。まだ、神経の繋がりが弱い時期には、効果が薄れていきます。学習を繰り返して繋がりが強固になれば、その効果が持続する時間も徐々に伸びていきます。

効果的な後遺症

川平法が大きな効果を示す後遺症は、「軽度~中等度の麻痺」です。それは、残った脳細胞が失われた役割を担当するため、残っている脳細胞が多ければ多いほど、高い効果を期待できるためです。
それに対して、重度の麻痺が残っている場合は、残っている脳細胞が少なく、それぞれの細胞が担当できる役割には限界があります。失われた機能を100とすると、残った脳細胞の数で100を割るのではなく、残った脳細胞が担当できる分を乗じることで100に近づけるイメージです。

効果の現れ方

川平法による治療を始めると、動かなかった手足が少しずつ動くようになります。動くようになるのは少しの範囲かもしれませんが、徐々に可動域全てを動かせるようになるでしょう。この段階では、ゆっくりと動かせる程度で構いません。
次の段階では、その動きに対してスピードを与えるようにします。早い動きができるようになってきたら、より複雑な動きができるようにします。他の関節も同時に動かして、さまざまな動きを行っていきます。複雑な動きが行えるようになったら、次は手足の力をつけていきます。この段階では川平法以外の治療法やリハビリによって、力をつけていきます。

効果が減少するケース

川平法では、治療を行っても効果が薄れてしまうケースもあります。それは、認知障害と学習障害が伴う場合です。認知障害は、人の言葉を理解できなくなっている場合があるためです。川平法では、介助者のサポートによって動きを行うので、介助者の言葉を理解することが必要となります。
そして、学習する能力が低下している場合、動きの学習も行えなくなってしまいます。この2つのケースでは、十分な効果が得られない可能性があります。また、治療を成功させるために最も大切なことは、「動かしたい」という本人の想いです。

川平法の効果を引き出すコツ

川平法を習得するには、介助者がコツを掴むことが大切です。部位によって動きは異なりますが、代表的な部位について簡単にコツを紹介していきます。

・肩の屈曲

肩の筋肉を叩くことで反射を引き起こしますが、強く叩かず、軽く早く叩くことが大切です。また、毎回同じ部分を叩き同じ筋肉を働かせることで、効率的に効果を実感することができます。

・肘の屈曲伸展

手の使い方が難しい手技ですが、手首を捻るところが最も重要で、軽く早く捻ることがポイントです。ただし、サポートしすぎると本人が動かす隙が無くなってしまうので注意してください。

・腕の回内回外

腕を回すには、捻りと擦りの2種類の動きによって反射を引き出します。捻りによって掌が自然に回転する部分を見つけたら、回転が止まらないように、長く丁寧に擦ってあげてください。

・手指伸展と手関節背屈

引っ張ることとタッピングによって反射を引き起こします。タッピングは軽く押すくらいで構いません。指先を上に挙げることが上手ではない場合、引っ張りよりもタッピングを強調させます。

・股関節の外転

この手技で大切なことは、股関節を開くのは本人が行って、開いた股関節を元に戻すのは介助者が行うことです。それが逆になると、効果は発揮されません。

・股関節の伸展外転と屈曲内転

これは股関節の外転とは違い、開くことも元に戻すことも両方本人が動かし、介助者は両方ともサポートを行います。コツは、下肢が動いているときにあぐらの様な体勢を保つことと、反射のタイミングです。タイミングは、下に動くときには殿筋を圧迫し、上に動く前に鼠径部を擦ります。

・股関節の伸展外転外旋と屈曲内転外旋

コツは2つあります。伸展外転外旋で股関節だけで運動ができていることと、屈曲内転外旋で運動の最初に反射を引き出すことです。膝が伸びてしまう場合や、自力で運動させている場合は、うまくいっていません。

・親指の伸展外転

親指の先を曲げてから根本を押しますが、反射を早く連続して行うことがコツです。1つ目の反射が残っている間に、2つ目の反射を引き出さなければなりません。

・親指の掌側外転

コツは3つあり、促通で薬指と小指がばらけないようにすること、親指の動きを介助しすぎないこと、親指を思い切り広げないことです。

・薬指と小指の伸展

指を動かしている間に手が動いてしまわないように、適切な力で支えてあげることです。また親指のときと同様、2つの反射をうまく重ねることです。スピードを重視して行うとよいでしょう。

・股関節の屈曲伸展

介助者が足首を寝かせる介助を素早く行うことで、股関節の運動を引き出します。また、膝の曲げ伸ばしは行わせずに、股関節だけ動くようにしてください。

・足関節の背屈

足先を上に持ち上げる動きがあるため、足先を下に伸ばすように往復運動をしてしまいがちです。この往復運動をさせないようにすることと、下腿三頭筋の収縮をさせないようにすることがコツです。

・体幹の側屈と回旋

胴体に行う治療です。骨盤を後ろに引くときには、早く軽く行うのがコツです。そして、指先で腹筋を刺激するときには、強く刺激せず筋肉の収縮が起こりやすいところに、軽く行うようにしてください。

(※1)脳卒中治療ガイドライン2015年

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