よくわかる脳梗塞の予防・治療Navi

脳梗塞の方への介護注意点

いざというときに役立つ脳梗塞になったときの介護

脳梗塞になった人を介護する際の注意点

脳梗塞はだれにでも起こりうる病気です。両親やパートナーが脳梗塞で倒れてしまったとき、家族としてできることは、脳梗塞の介護の注意点を確認しておくことです。自分が主となって介護する場合でなくても、少しでも患者さんと主介護者の負担を軽減できるよう、介護に必要な知識を取り入れてみましょう。

脳梗塞の介護の心構え

・脳梗塞について知る

脳梗塞は発症してから治療を施すまでの時間が長引いた場合や、症状の度合いによって後遺症が残り、介護が必要となります。脳への血流が遮断されることで、脳細胞が壊死してしまうため、対象となる部分の機能が損なわれてしまうのです。損傷が大きければ後遺症も重くなり、リハビリテーションが必要となります。リハビリをすることである程度の機能向上は可能ですが、一度失った機能を取り戻すことはできません。そのため、脳梗塞を発症した場合は、家族が協力して介護する必要が出てくるのです。

脳梗塞を起こした方の介護では、デイケアやショートスティなどの施設を利用することもあります。その場合でも、家族が脳梗塞の知識を深め、後遺症のことを理解するのは大切なことです。家族が介護するしないにかかわらず、知識を深めておくことで、患者さん本人が何を望んでいるかわかりやすくなります。精神的なケアも、家族の重要な役割です。

・患者さんができることは任せる

介護する側が注意したいのが、身の回りのことをすべてやってしまわないことです。からだの機能は自分で動かすことで強化されるため、すべてをサポートしてしまうと、本来ある機能が失われてしまい、せっかくリハビリをしても意味がなくなってしまうことがあります。患者さんの自尊心にもかかわるため、一人では難しいことだけをさりげなく補助するよう心がけましょう。

また、患者さんが言語障害や認知障害を抱えていても、赤ちゃんに対するような言葉づかいは避けてください。親切にしよう、優しく接しようとするあまり、ついつい子ども扱いしてしまうかもしれません。障害の程度によっては、言葉がうまく出ないだけで、意識ははっきりしていることも考えられます。障害がある方でも大人として扱うことが大切です。

・負担が偏らないようにする

介護では特定の人だけに負担が偏るのは避けましょう。1人のみに集中してしまうと、介護疲れにより適切な介護ができなくなります。とくに脳梗塞の後遺症が重傷であるほど負担がかかるため、介護サービスをうまく活用しながら負担を軽減させることが重要です。介護は長期にわたることも少なくないため、長続きする介護体制を考えるようにしましょう。

後遺症別注意点

脳梗塞の後遺症は人によって度合いが異なるため、症状に合わせた介護が必要です。

・運動障害

脳梗塞の後遺症としては、多くのケースで片麻痺が見られます。運動にかかわる神経が働かなくなり、片側の手や足が麻痺するという症状です。麻痺は梗塞が起こった脳の部位とは反対側の手足に出ます。軽度ならリハビリで回復することもありますが、症状によっては歩行が困難になり補助具や車いすの利用が必要です。

右半身麻痺が出た場合、同時に言語障害を伴うことがあります。失語症は、頭では言いたいことがわかっていても、それをうまく言葉にできないという症状が出ます。そのため本人はいらだちを感じ、短気になったり暴力的になったりすることも少なくありません。介助するときは、短い言葉でゆっくりと話す、何度か確認する、YESかNOで答えられる質問をするなどの配慮も必要です。

左半身麻痺の場合は、集中力が長く続かない注意障害がみられることがあります。手足が動かしづらい状態で、さらに注意力が低下すると、移動の際に障害物にぶつかりやすいため注意してあげましょう。

・発声、嚥下障害

脳梗塞によって、声を出したり、食べ物を飲み込んだりといった動作が難しくなることもあります。これらは喉の筋肉と関連しており、この周辺に麻痺が出ると発声や嚥下障害という形で後遺症があらわれるのです。声が出ないばかりか、食べ物や唾液が気管支や肺に入り込み、肺炎を起こすこともあるため注意しましょう。また、食べづらさから脱水症や栄養不良に陥ったり、食べる楽しみが低下したりする心配もあります。

介護者が食事を介助する場合、ベッドに寝た姿勢で30~60度にからだを起こすのが適切です。患者さんに食べ物を見せると、食べる楽しみが増えるでしょう。食後は誤嚥を防ぐために、すぐにからだを横に寝かせないよう注意してください。飲み下しにくい場合は嚥下食を利用する必要があります。ゼリー状でとろみがついているため、スムーズに食道に入ります。水分は最も誤嚥しやすいため注意してください。喉を食べ物が通らない場合は、お腹から直接胃に「胃ろう」というチューブを通すこともあります。

・言語障害

言語障害は左脳に障害が出た場合におこります。他人が話すことは理解できるが、自分が考えていることを言葉にすることができません。また、他人の話すことが理解できなかったり、自分でも意味がある言葉を発することができなかったりというケースもあります。全失語は、理解することも話すこともできない状態です。

失語症があったとしてもコミュニケーションが取れる場合もあります。言葉が出ない場合はじっくり時間をかけて聞いてあげることです。言葉を無理に出させるのではなく、うなずくか、顔を横に振ることで答えられる質問をなげかるようにしましょう。文字にする、写真や絵を利用するという方法もあります。注意したいのが、患者さんが本人の意図とは違う言葉で答えてしまう場合があるという点です。本人の普段の嗜好と違うように感じたら、何度か聞きなおしてみましょう。

・失認、失行

大脳の一部が破壊されることで、視覚や聴覚で得られた感覚に障害が出ます。よくみられるのが、左半分の空間が認識できないことです。左側をたびたびぶつける場合は注意しましょう。また、麻痺はないのに特定の動作ができなくなることもあります。周囲の人は、患者さんにとってどの部分が認識できていないのか、常に気を配ってあげるようにしましょう。

・精神障害

前頭葉や側頭葉に問題が生じると、注意力の低下や性格の変化が現れます。興奮して急に怒り出したり、突然泣き出したりすることもあるため、社会生活を良好に送ることができません。後遺症により人との接触を避けると、楽しみが減り、精神障害につながる恐れがあります。寝たきりによる症状の悪化にも注意してください。

リハビリ時期別注意点

脳梗塞により障害が起きている場合、時期によって適切なリハビリが変わってきます。

・発症直後~急性期

発症直後は生命の危機や治療の必要性から、ベッドに寝たままとなることが多いです。ただし長期間の安静は身体機能の低下を招くため、急性期でもリハビリテーションを進める必要があります。この時期は、理学療法士などが床ずれや筋肉が痩せるのを防ぐため、一定時間ごとにからだの向きを変えたり、麻痺している手足を動かしたりします。

患者さん自身は麻痺があることにショックを受ける方も少なくありません。家族は一歩引いた距離から見守ることが大切です。励ますことは悪いことではありませんが、プレッシャーを与え過ぎないよう注意しましょう。

・回復期

脳梗塞の発症から4週間以内に回復期となることが多いです。早期にリハビリテーションをはじめるほど効果が高いため、専門の病棟や病院に移って治療を開始します。最初はベッドから少しずつ離れる訓練から始め、徐々に歩行訓練などへと移るのが一般的です。患者さんが在宅生活で想定する暮らしを考えながら計画が立てられ、患者さんや家族の方も一緒に注意点や指導方法を学びます。

・維持期

退院してからもリハビリテーションは引き続きおこないます。退院がゴールではありません。生活レベルを維持していくためのリハビリテーションが必要なこともあります。家族の方は、トイレや階段、お風呂場に手すりを付けるなど、患者さんにとって障害があっても暮らしやすい環境を整えてあげましょう。

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