よくわかる脳梗塞の予防・治療Navi

脳梗塞の後遺症の排尿障害とは

脳梗塞の後遺症を乗り越えるために~症状と対策法~

排尿障害

脳梗塞の後遺症には排尿障害があります。排尿障害はデリケートな問題であり、周囲の人の対応によっては患者さんの気持ちを傷つける恐れもあります。症状を正しく理解して、心情に寄り添った接し方が必要です。

脳梗塞で排尿障害が起こる仕組み

排尿障害は、脳梗塞で発症し、後遺症として残ることのある症状です。排尿障害は尿を溜めたり出したりするための筋肉や膀胱をコントロールする神経が障害されることで起こります。

膀胱には腎臓から作られた尿が常に送られます。尿は膀胱で一時的に溜められますが、尿を出すか我慢をするかは自分の意志でコントロールし、自由なタイミングで排泄することが可能です。膀胱がいっぱいになった場合には、膀胱から脊髄、脳へと情報が送られ、尿意を自覚することになります。すぐに排泄する場合には、自分の意思で排泄しようとすると尿の出口にある尿道括約筋という筋肉が緩んで尿道へと尿が流れ、それと同時に膀胱の壁が収縮して尿を体外に押し出します。

ところが、脳梗塞で排尿を調整する役割を果たす神経が損傷してしまうと、膀胱がうまくコントロールできなくなります。脳への情報の伝達ができないため、膀胱が無意識に収縮してしまったり、尿道括約筋が緩んだりします。また、反対に膀胱の収縮が弱くなることもあります。

 

排尿障害の症状

排尿障害とは、尿の排泄をコントロールできずに自分の意思に関係なく排尿してしまう失禁や残尿、尿が出ない状態などをいいます。 脳梗塞が原因である場合には、尿失禁と尿排出障害という、2種類の症状が見られます。

・意志とは関係なく尿が出てしまう(尿失禁)
自分の意思に関係なく尿が出てしまう症状を尿失禁といいます。激しい尿意を突然感じ、トイレまで我慢ができずに漏れてしまうこともあります。脳梗塞では運動障害などを伴うことも多く、歩行がスムーズにできない場合には余計に間に合わなくなってしまうでしょう。こうした急に起こる強い尿意と失禁を切迫性尿失禁といいます。

ただ、トイレの場所がわからない、体を動かしにくいせいでトイレまでの移動が間に合わない、などの理由で起こることもありますので、ご注意ください。(※1)

・トイレに行っても思うように尿が出ない(尿排出障害)
思うように尿が出なくなってしまうのも、脳梗塞では多い症状です。自分の意思で排尿しようとしても全く出なかったり、残尿感が残ったりします。また、機能が正常であれば排尿は尿意のない時でもできるものですが、強い尿意のある時以外はできなくなります。脳梗塞では、この症状を持っている人の多くに尿失禁の症状も伴い、強い尿意のある時には漏らしてしまい、自分で排尿したい時には出ないという状況が見られます。(※2)

(※1)鈩 裕和, 身近な人が脳梗塞・脳出血になったときの介護と対策, 自由国民社,2017/6/16

(※2)脳卒中と排尿障害 ,wocnursing, 2016/5 Vol.4 No.5

 

排尿障害の治療とリハビリ

切迫性尿失禁では、いくつかの治療方法があります。尿失禁は、治療によって大きく改善されることも多いとされています。薬を使うものやリハビリによって膀胱の機能をトレーニングするものなどがあり、ご家族の協力が必要になることもあります。

・薬物療法
薬物療法では、尿を溜める機能を高めるために膀胱を収縮させにくくする治療が行われます。薬剤を投与することで膀胱の筋肉を弛緩させて、膀胱の容量を増加させることが可能です。膀胱平滑筋を弛緩させる抗コリン剤を使う方法が一般的ですが、ボツリヌス毒素を膀胱内に入れて膀胱の筋肉の過剰な活動を弛緩する方法も効果が期待されています。服用方法には皮膚パッチ剤や膀胱内への直接投与などがあります。ただし、口腔内の乾燥や便秘、胃食道逆流症などの副作用や、反対に尿が出なくなる恐れもあります。

・膀胱訓練
膀胱訓練は、膀胱の容量を増やすトレーニングです。尿失禁の間隔が1時間半程度であれば、2時間を目標として排尿を我慢するという方法です。膀胱の容量が増えて2時間の我慢ができたら2時間半にする、というように目標時間を延ばしていき、継続的に根気良くトレーニングしていきます。

・排尿習慣をつける
尿失禁のパターンを解明して、失禁する前に排尿する習慣をつけることで正常な排尿を目指します。この方法では、家族や介護者も協力して行うことが必要です。

家族の接し方

排尿障害の患者さんには、本人の恥ずかしいという気持ちや、失敗への不安などを考えて接することが大切です。また、介助を受ける必要がある患者さんのプライバシーにも注意が必要となります。

・排尿のタイミングでさりげなく声をかける
排尿習慣をつけるサポートを行う場合には、トイレでの排尿を促すことになります。排尿は優先的に行い、失敗にしないように心がけます。また、声かけの際にはさりげなく声をかけるようにします。

・自尊心を傷つけないような配慮を
排せつの失敗は、患者さんにとって自尊心を傷つけられるショックなものです。失敗しても怒らないようにして、介助されることが本人の負担にならないように、明るく接することが必要となります。また、プライバシーに配慮して、用を足す時に過干渉にならないようにすることも大切です。排尿障害の患者さんには、排尿を避けるために水分を摂らなくなることもあるため注意してください。

脳梗塞の後遺症の排尿障害は適切な治療と心のケアを

脳梗塞の後遺症として排尿障害が出た場合には、適切な治療やリハビリなどによって改善することができます。しかし、排尿の問題はプライバシーや自尊心にも大きく関係しているため、リハビリや介助に参加する人たちは患者さんの気持ちに寄り添ったケアが必要です。

先輩はどのように立ち向かったのか

事例は異なりますが、脳梗塞に立ち向かった先輩方や、その御家族がどんな取り組みをされていたのかを知ることはとても大切です。脳梗塞で倒れ、現在は復帰してプロスカウトをされている、元プロ野球選手の「柏原純一」さんと奥様の体験談をご紹介いたします

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