よくわかる脳梗塞の予防・治療Navi

脳梗塞の後遺症の痙縮とは

脳梗塞の後遺症を乗り越えるために~症状と対策法~

痙縮(けいしゅく)

痙縮(けいしゅく)とは、常に腕や足の筋肉に必要以上の力が入って、動かしにくくなる後遺症。中枢神経が障害を負ったことで起こります。ここでは、痙縮のリハビリ方法やご家族のサポート方法など、痙縮で悩む患者さんのケアについてまとめました。

痙縮(けいしゅく)の特徴

手や足の筋肉に力が入りすぎることでつっぱってしまい、自力で力を抜くのが難しくなるのが「痙縮(けいしゅく)」と呼ばれる脳梗塞の後遺症です。

脳梗塞を発症した後にマヒと一緒になって現れるのが特徴のひとつ。手や指に現れた場合は、ギュッと固く握ったまま咄嗟に開けることが難しくなり、日常生活やリハビリでも思うように体を動かせなくなります。また、足先が無意識に内側へ丸まってしまい、まっすぐ伸ばしにくい状態にも。自分の意志とは関係なく体に力が入り、動きにくくなるだけでなく、肩や手足の筋肉に負担がかかって疲れやすくなります。

さらに、不自然な姿勢を取り続けることを余儀なくされるので、関節が動かしにくくなる拘縮(こうしゅく)という症状へのリスクも高まります。リハビリの妨げとなる可能性もあるばかりでなく、発症前と比べて見た目や運動機能も大きく変化するので、精神的なストレスを抱えやすくなります。

患者さんが心身の負担を抱えすぎないよう、周囲の方で日常生活動作や心のケアをサポートしてあげることが大切です。

痙縮が起こる脳梗塞の種類

痙縮はすべての脳梗塞において起こる可能性のある後遺症で、とくに片麻痺と同時に発症しやすい症状だといわれています。

片麻痺とは脳梗塞で脳の片方がダメージを受けた場合、右半身か左半身のどちらかが動きにくくなる後遺症のこと。主にしびれを感じる症状ですが、発症から一定の期間が過ぎると片麻痺は痙縮を伴うようになります。脳の血管の詰まりや壊死した細胞ができると、脳からの命令が末端の神経まで届きにくくなるため、これらの障害が現れます。

また、脳の中心にある脳幹からの出血による脳梗塞を発症した場合、片側だけでなく両方の手足に痙縮の症状が見られます。その場合は歩くことも難しく、寝たきり中心の生活で行動の制限が厳しくなることも。重度の痙縮患者は日本の脳卒中患者の約1%と少ないため、誰しもが寝たきりに繋がるとは限りませんが、思うように手足を動かせず常に力が入る状態は、疲労やストレスがたまりやすくなります。

痙縮の具体的な症状

最大の特徴は手足の筋肉が緊張して常に力が入った状態になり、動かしにくくなることです。

肩やヒジが固まるのでうまく曲げ伸ばしができなくなり、立ったり座ったりといった簡単な動作でも難しくなります。ヒジが曲がっていることで、狭い通路や壁際を歩く際にはぶつかってしまうことも。生活を送るうえでとくに困るのは、服を着替える時です。腕や脚へ服を通す動作をスムーズに行えなくなるため、介助が必要になる場面が多いといえます。

また前述したように、つま先が丸まってしまうケースも多く、足の裏全体を使って歩くことが困難となり、つま先立ちで歩く形となってしまいます。負担がつま先の一点に集中することにより、足に痛みを感じやすいのも具体的な症状としてあげられます。

痛みや不便さを感じてはいながらも、自分の力では上手く体をリラックスさせて力を抜くことはできません。体のこわばりを和らげるリハビリを手伝ってあげたり、歩く時に障害物とぶつからないように支えてあげるなど、ご家族や周囲の方による日々の生活のサポートが重要となります。

リハビリ方法

痙縮のリハビリは、発症からどのくらいの期間が経ったかによって内容が変化します。発症直後からリハビリを行うことで、症状の進行を抑えられる可能性も。ここでは急性期・回復期・生活期にわけてリハビリ方法を紹介します。

急性期の痙縮のリハビリ

発症から数週間、主に病院に入院している急性期の間に行うリハビリです。この時期は身体機能を回復させるためではなく、筋力を低下させないように、ベッドの上で手足を動かしたり、可動式ベッドの足や背もたれ部分の角度を調整して座る体勢をキープしたりといった、無理のない範囲でのリハビリを行います。

回復期の痙縮のリハビリ

リハビリを専門に行う病院に移った後は、食事や着替えといった日常生活動作ができるように訓練します。手すりを使った歩行やマヒがある場合の着替え方を訓練。運動機能の回復を目指します。

維持期・生活期の痙縮のリハビリ

退院した後、元の生活に戻った後も筋力を落とさないためにリハビリを続けます。ただし痙縮の症状が強く現れてリハビリに支障が出る場合は、体のこわばりをやわらげるための治療を行うこともあります。

接し方のポイント

後遺症が緩和されたり、退院をすることで、多くのご家族は「治療やリハビリはもう終わった」と思うのではないでしょうか。しかし、日常生活に戻ったからこそリハビリは続けなくてはなりません。

とくに痙縮は、自分で体をうまく動かせなくなる症状。いくら周囲からは改善されているように見えても、本人はどこかに不自由さが残っていることには変わりないのです。手足のマッサージや食事、着替えなど、日常生活で行う動作ひとつひとつ、きちんとご家族でサポートをおこなっていきましょう。

ただし、全ての行動につきっきりでサポートを行うことは、家族の負担になるだけでなく患者さんにとっても罪悪感や自尊心を傷つけられる感覚で、精神的な負担になる可能性も。患者さんが生活しやすいように、使う道具や家の中の環境を整えるなど、ひとりで出来ることをひとつでも増やせるように考えてあげることも大切です。

体験談

40代の頃、夜中にトイレへ行こうと立ち上がった瞬間に脳梗塞で倒れました。倒れた直後に入院した病院とリハビリ専門病院、通算で入院期間は4ヵ月でした。その間に、座ったり立ったりを繰り返すリハビリやマッサージに一生懸命取り組み、足の機能は回復したものの、左腕に出た痙縮までは改善できませんでした。幸いにも、痙縮の症状が出ているのは利き手ではない方の腕であったため、利き手だけで仕事を続けられることに。バランスがうまく取れないので片手だけの生活はとても大変です。この後遺症と18年付き合って、今でこそこの生活にも慣れて、症状の改善も徐々には見られていますが、改善できる治療方法がもしあるのなら今からでも受けたいと思っています。

先輩はどのように立ち向かったのか

事例は異なりますが、脳梗塞に立ち向かった先輩方や、その御家族がどんな取り組みをされていたのかを知ることはとても大切です。脳梗塞で倒れ、現在は復帰してプロスカウトをされている、元プロ野球選手の「柏原純一」さんと奥様の体験談をご紹介いたします

【体験談】「自分が脳梗塞になるとは思ってなかった…」
元プロ野球選手の柏原純一さんが脳梗塞から立ち直るまで >>

当サイトについて

当サイトは、「よくわかる脳梗塞の予防・治療Navi」編集部が管理・運営する情報サイトです。脳梗塞の方やそのご家族に向け、お役立ちできる情報をできる限り分かりやすくまとめております。掲載コンテンツは、信憑性の高い情報を元にオリジナルの記事を掲載しております。
また、当サイトのご活用に関しましては自己責任のうえ、当サイトでは責任を負いかねますことをご了承ください。

よくわかる脳梗塞の予防・治療Naviについて

今日からはじめよう!脳梗塞の再発予防
Symptoms 知っておきたい脳梗塞の種類とその症状
Diseases 脳梗塞と深い関係のあるさまざまな病気