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半身麻痺などを引き起こす脳梗塞の神経障害

脳梗塞の後遺症で知っておきたい 神経障害について

脳は全身にあらゆる指令を送っている器官です。そのため、脳梗塞で脳の機能の一部を失うと、体に直接ケガや障害を負っていなくても、正しく機能しなくなってしまいます。これが神経障害です。

同じ神経障害でも、脳のどの部分で梗塞が起きたかにより、症状が変わってきます。具体的には、感覚障害、視角障害、嚥下(えんげ)障害、排尿障害、運動障害、言語障害などです。このように脳梗塞の神経障害といっても種類が多く、ある患者さんは視角に問題が出たが、一方の患者さんは言語障害だけ、ということも少なくありません。どんな障害があり、どんなサポートが必要なのかを正確に把握するようにしましょう。

神経障害は半身麻痺などを引き起こす

感覚障害

感覚障害があると、手足の感覚が鈍くなり、触れている感覚や温度変化を感じにくくなります。重度の場合は物に触れたときの感覚がまったくなくなるため、物にぶつかっても気が付かず、知らずにけがをするリスクが高いです。また、熱さや冷たさも感じることがなくなり、調理中の火に体が触れてもまったく気が付かないということもあり得ます。触れている感覚どころか痛みさえもわからなくなり、けがや火傷の発見が遅れてしまうリスクもあるので、本人と周囲が障害を自覚し、気を配ることが必要です。

顔、手足には、痛みや温度だけでなく、位置、振動などを感じる機能があります。脳梗塞の感覚麻痺の特徴として、片側のみがしびれることが挙げられます。両手や両足に感覚の麻痺やしびれが出る場合もありますが、片側のみに症状が出る場合が多いです。また、感覚と運動をつかさどる神経はほとんど同じ経路を通過しているため、しびれと運動障害を同時に発症することもあります。

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視野障害

脳梗塞による視覚障害では、運動障害と視野が欠ける障害の二種類があります。運動障害は、目周辺の筋肉の動きに障害が出て、物理的に見えづらくなるタイプです。自動でピントを合わせることができなくなるため、左右の視点にズレが生じてしまい、ものが二重に見えたり、ブレたりします。筋肉に障害が出るのは片側のみで、もう一方の目は正常な機能を持っています。そのため、問題がある目を閉じればブレは起こりません。

視角が欠ける障害は、目の機能に問題がなくても、脳で視角情報をうまく処理できないために起こるものです。脳梗塞の発症後、左右のどちらかが見えづらくなっている場合はこれに当てはまります。脳梗塞の場合、左脳で脳梗塞が起きた際に視野の欠けが多くなると言われています。注意したいのが、本人が視野に欠けがあることに気が付かないことです。障害が起きるかもしれないということを、本人と周囲が知っておくことが早期発見につながります。

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嚥下障害

脳で口の周りの筋肉をつかさどる部分に障害を負うと、食べ物や飲み物を飲み込めなくなります。これが嚥下障害です。脳梗塞で脳の血管が詰まると、手足と同様、顔の筋肉をつかさどる部分にも影響を与えることがあります。なにげなくしている食事ですが、飲み込む動作をするときは、口と舌、口蓋や喉の器官のすべてをタイミングよく動かしています。喉の筋肉のみならず、さまざまな器官が連動しはじめて飲み込むことが可能となっているのです。そのため、どこかの機能が失われると、飲み込む行為自体がうまくできません。

飲み込む動作に障害が出てしまうと、食べ物や飲み物を飲み込む際にむせやすく、誤嚥(ごえん)もしやすくなります。誤嚥とは、食べ物や飲み物が食道へ入らず、気道へ行ってしまうことで気管支や肺に異物が入り込むことです。通常、飲食物を飲み込む際には、気道への通路はふさがりものが入り込まないようになっています。脳梗塞で口の周りの筋肉に障害が出ていると、誤嚥性肺炎を起こしやすいため注意が必要です。

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排尿障害

脳梗塞の後遺症として高い確率で起こる後遺症の一つが排尿障害です。尿を膀胱にためる行為も、ためた尿を出す行為も脳がつかさどっているため、脳梗塞でその部分に障害が出れば、排尿機能にも異常をきたします。自分の意思で排尿をコントロールすることが困難になり、排尿したくても出ない(尿排出障害)、我慢したいのに我慢できない(尿失禁)という状態になってしまうのです。

尿排出障害は、尿の勢いが弱い、途中で尿の排出が途切れる、尿を出すために力が必要、尿が出終わるのに時間がかかるなどの症状が出ます。一方、尿失禁に悩む患者さんの症状は、尿意をもよおしてからトイレに行っても間に合わない、尿意を感じづらく、何かの拍子に意志とは関係なく排尿してしまうなどです。前触れなくトイレに行きたくなるばかりか、自分の意志で我慢することが困難なため、社会復帰にも大きな影響を与えてしまう可能性があるでしょう。排尿障害は本人の問題であることはもちろんのこと、介護する家族にとっても今後の対応を考えなければなりません。

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運動障害

脳の前頭葉や頭頂葉などは、運動や感覚機能をつかさどっています。この部分に障害が出ると、運動障害が起こります。そのため、脳梗塞後の後遺症で多いのが片麻痺です。脳梗塞が起きた側とは反対側の手足に障害が起こり、運動機能が損なわれます。手足に力が入らない、足がもつれるなどの症状が出ますが、その症状は個人差があって、人によって軽度から重度までさまざまです。

脳梗塞の後遺症で運動障害が出た場合、早期の段階からリハビリをおこなうことが大切です。完全に回復できるかは症状の度合いにより異なり、訓練で回復できる場合や、回復できない場合は補助具を使った練習がおこなわれます。運動障害で動かしづらくなっていても、本人の動かす意識が大切です。家族がすべてやってあげると、麻痺の起こっている部位を使う機会が失われ、運動機能の低下を招きやすいため注意しましょう。

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言語障害

脳梗塞後の後遺症で起こる言語障害には、失語症と運動障害性構音障害の2タイプがあります。
失語症は大脳の言語をつかさどる部分に障害を受けたため起こります。相手の話を聞いても理解できず、自分の思ったことを話したり書いたりできなくなるというものです。どの部分に問題が出るかは障害の度合いにより異なり、すべてに障害が出る場合もあれば、一部の機能を失うケースもあります。

運動障害性構音障害とは、脳幹や脳幹につながる神経線維に損傷を受けることで起こります。唇や舌に麻痺が起きるため、うまく話すことができません。具体的には、声を出しにくい、発音しにくく相手に聞こえづらいなどの問題が発生します。発音のみの障害であるため、相手の話を理解し、自分の気持ちを伝える機能は健在です。方法を工夫することで、周りの人とコミュニケーションをとることは可能でしょう。

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疼痛性障害

疼痛性障害は、脳梗塞を発症して数か月が経ってから起こる障害です。脳梗塞の後遺症のなかには、神経の感覚が麻痺し痛みや熱さなどを感じにくくなる感覚障害もあります。しかしそれとはまったく逆の痛みが発生するという症状は、脳が障害を受けることで異常な感覚状態をつくってしまうために起こっているのです。

具体的な症状は、末梢性疝痛と呼ばれる筋肉痛や五十肩のような痛みと、脳が間違った痛みを感じる中枢性疼痛に分けられます。なかでも大脳皮質の感覚中枢が感じる中枢性疼痛は、苦痛が強いのが特徴です。さらに症状が慢性化すれば、ジンジン、ピリピリ、ヒリヒリ、チクチクといった嫌な痛みが続きます。これらの痛みは実際に痛みやしびれが起きているわけではないため、鎮痛薬での治療は効果を発揮しません。かといって痛みを放置すれば、うつ症状や不眠に陥ることもあるため、早めに医師に相談して痛みを取り除く治療を開始しましょう。

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失認

失認とは、脳に送られた情報を正しく認識することができなくなる症状です。脳に関わる病気で非常に多い後遺症のひとつとなっています。目に映ったものを認識できない「視覚失認」、相手の顔を見てだれか思い出すことのできなくなる「相貌失認」、聞こえる音が何の音であるか分からなくなる「聴覚失認」のほか、半身麻痺のあることを否認したり軽度でも使わなくなるといった「半側身体失認」の4種類があります。

それぞれのケースにおけるトレーニング方法を解説。本人からの告白がなければ、なかなか周囲はこれらの後遺症を察知することが困難であるため、具体的にどういった症状が見られるのかをチェックしましょう。

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片麻痺・半身麻痺

脳梗塞の多くが脳の一部の損傷となる脳梗塞において、後遺症として発症する可能性の高いのが「片麻痺・半身麻痺」です。片麻痺・半身麻痺の特徴としてあげられるのが、他の後遺症も併発しやすいという点です。また、右脳と左脳で身体への役割に違いがあるため、右半身麻痺と左半身麻痺で症状が異なるケースも。

急性期・回復期・維持期によっても、リハビリ方法が大きく異なる片麻痺・半身麻痺。ご家族やご友人など周囲の方の接し方や、実際に片麻痺・半身麻痺を経験した方の体験談をご紹介。後遺症を乗り越えていくために知っておきたい知識をまとめました。

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