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感情障害|脳梗塞の後遺症を乗り越えるために

脳梗塞の後遺症を乗り越えるために~症状と対策法~

感情障害

家族が脳梗塞を発症したら、突然感情の起伏が激しくなった、以前とはまるで違う性格になった、という話を聞くことがあります。これらは脳梗塞の後遺症のひとつで、感情障害と呼ばれています。家族が脳梗塞を発症し、後遺症のことを調べている方は、感情障害も知識のひとつとして取り入れておきましょう。

感情障害と脳梗塞の関係

脳梗塞が発生し脳の血管の一部がつまってしまうと、感情障害が発生することがあります。後遺症の出方や程度は、梗塞の起こった場所や、ダメージを受けた部位に左右されます。梗塞が小さな血管で起こった際など、影響を受けたのがごく一部だった場合は、正常な機能を持っている部分と、機能が低下した部分とにわかれます。この場合は低下する機能に差が生じやすく、計算力が高いのに、記憶力が低下しているといった症状が出てくるのです。

そうした症状のひとつに、感情のコントロールが付かず、すぐに泣きだしてしまう、怒り出してしまう「感情障害」があります。健康な人であれば、感情はある程度意識によってコントロールされています。泣きたくなっても泣いてはいけない現場なら我慢し、怒りたくても感情をセーブしているものです。

しかし、脳梗塞で感情をつかさどる部分が障害を受けると、そうしたコントロールがきかず、感情がそのまま表に出てきてしまいます。特に脳の前頭葉眼窩面に障害が発生すると、感情の起伏が激しくなったり、人格の変化をもたらしたりすると言われています。認知症でも脳の損傷箇所によっては同様の症状が出ることがあります。

感情障害の症状

脳梗塞の後遺症で感情障害があると、にこにこ笑っていたと思うと急に怒りだしたり、泣き出したりすることがあります。患者さんが感情豊かな性格で、もともとよく泣いたり笑ったりする方だと、感情障害になりやすいのではないか、あるいは感情障害が起こっているのではないかと心配になるかもしれません。しかし、脳梗塞による感情障害は、本人がもともと泣きやすい、怒りやすいといった刺激の感じやすさとは無関係だと言われています。脳梗塞の後遺症の場合は、情緒の問題というよりも、刺激から起こる感情を抑えられないのが特徴です。具体的には、以下のような症状が挙げられます。

・周囲の状況にあわせて感情をセーブできない
・悲しいはずなのに笑い出してしまう
・普通は泣きださない状況で涙を流す

患者さん本人はそれほど悲しくなくても泣いてしまい、機嫌がよさそうにしていても、ちょっとした言動で感情の起伏が激しくなるのです。主な原因は、周りの言葉に過剰に反応してしまうためと考えられます。周囲の認識よりも敏感に反応してしまうことがあるため、ひどく怒りっぽい性格に変わったように見え、困惑してしまうこともあるでしょう。

しかし、感情障害によって本人の人格が破壊されてしまったわけではありません。家族や介護スタッフの方の言動が気になり、少しの刺激でも過剰に反応しやすくなっているだけです。相手に失礼なことをしてはいけないという感情は残っているため、ほかの障害がなければ、対人関係で問題を起こすことは少ないでしょう。

リハビリ方法

感情の起伏が激しい場合、リハビリは訓練というよりも環境の調整と、患者さんとの話し合いがメインです。

環境づくりでは、患者さんをできるだけ刺激しない環境に変えることが大切です。周りに人がたくさんいる場所だと刺激も受けやすいため、静かで、本人が疲れないような居場所をつくるなどの対策が必要となります。そのうえで本人と一緒に、何が問題となるのか考えていきましょう。

また、対策として、感情が表に出やすい状況では、周りの方が誉める、励ます、注意を引く行為で紛らわせることが可能です。何か刺激を受ける言葉や行動があるなら、別の話題に変えて注意をそらすようにしましょう。患者さんが介護者に対し感情を出してしまう場合、一時その場所から離れて距離を取るのも方法のひとつです。泣く、叫ぶ、怒るなどの感情が抑えきれないときは、数分間おもいっきり大声を出すことで、感情を発散させることができます。自宅など周囲の目が気にならない場所であれば、思い切り発散させてあげるのもよいでしょう。

脳梗塞後の感情障害の治療として、β-遮断薬を活用する方法があります。感情障害を持つ患者さん23例にβ-遮断薬を試してもらったところ、著明改善が26.1%、改善が26.1%、やや改善が13.0%あることがわかり、何らかの改善効果が得られたのが65.2%と過半数を超えています。また、この効果は性別、年齢、病巣部位による差はありませんでした。

感情の起伏が激しく、どうしても対応が難しい場合は、薬による治療ができないか、医師に相談してみるという方法も検討してみましょう。

接し方のポイント

患者さんは自分の気持ちを抑えることができないため、家族や介護者が患者さんと接するときは、話を聞いてあげる姿勢が基本です。脳梗塞の後遺症で感情障害がある方は、本人の人格や礼節は保たれているため、暴れだしたりすることはありません。ただ感情を制御しにくくなっているため、周りの方は聞き役に徹することが大切です。

患者さんが負の感情を出したら、それを聞き入れるのではなく、ただ黙って聞いて受け止めるだけでかまいません。家族の方がストレスになる場合は距離を置いて、余裕が出たときにまた聞いてあげてください。

また、家族やスタッフの方は、患者さんが泣く、怒る要素を把握して、次回からなるべく刺激しないよう気を付けるのも有効です

体験談

父が脳梗塞になり、感情失禁で悩んでいました。脳梗塞で倒れてからは、突然起こったり、泣き出したりするようになり、家族に負の感情ばかりを見せるようになったのです。この症状が脳梗塞の後遺症で、感情失禁というものだということは理解していますが、息子としてどのように父に対応してよいのかわかりませんでした。父が怒ったり泣いたりするたびに振り回されていたら、いくら大切な家族とはいえ、はっきりいって体も心も持ちません。そんなときに、話を聞いてあげるだけで患者さん本人のストレスが解消されることもあると聞き、実践しています。否定せずに話を聞いてあげるだけでも、本人は少し楽になるようです。

先輩はどのように立ち向かったのか

事例は異なりますが、脳梗塞に立ち向かった先輩方や、その御家族がどんな取り組みをされていたのかを知ることはとても大切です。脳梗塞で倒れ、現在は復帰してプロスカウトをされている、元プロ野球選手の「柏原純一」さんと奥様の体験談をご紹介いたします

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