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うつ病|脳梗塞の後遺症を乗り越えるために

脳梗塞の後遺症を乗り越えるために~症状と対策法~

うつ病

脳梗塞の後遺症として生じることがある、うつ病について、症状や治療法、家族の接し方などを紹介します。周囲の体験談も参考に、うつ病になった人の家族ができることを考えていきましょう。

脳梗塞とうつ病の関係

脳梗塞後には様々な精神的症状が生じやすいものですが、その中で最も発症頻度が高いのがうつで、約30%~50%です。(※1)脳梗塞を発症してから3~6ヶ月ほどでうつの頻度や程度がピークを迎える患者は多く、その後の発症は脳梗塞の後遺症にストレスが重なることに深い関係があり発症します。

脳梗塞を発症した後のうつ病の原因は、2種類あると考えられています。1つは心因説で、もう1つは脳障害説です。脳梗塞の後遺症が残ったことにより、精神的に落ち込むとうつ病を発すると考えられているのが、心因説。脳にダメージがおよんだことにより、うつ病を発すると考えられているのが脳障害説です。脳梗塞発症から間もない時期のうつ病は脳障害が原因となり、慢性期になると精神的な落ち込むことなどにより、心因によるうつ病が発症しやすくなると考えられています。脳梗塞後には、生活環境の変化によるストレスが増える場合も多く、うつ病を発症するリスクも高くなってしまいます。さらに、ADLの自立度が低い人ほどうつ症状が強い傾向を示しています。

うつになると喫煙率がアップしたり、栄養が偏ったりすることが多く、生活習慣に変化が出て来ることから、高血圧や動脈硬化などの脳梗塞を発症するリスクが高くなります。そのため、脳梗塞後のうつ病が、脳梗塞の再発のリスクを高めることになる場合もあります。(※2)

(※1,2)岩崎也生子, 脳卒中後のうつー脳卒中とともにうつ症状を患う場合の作業療法 特集 連続特集Part2 新たな障害としての"うつ"を背負った方に, 臨床作業療法, Vol14, No.2, 2017

うつ病の症状

うつ病には、様々な自覚症状があります。早期発見のためにも、いつもと違うと感じたら、うつ病を疑ってみたほうがよいでしょう。自覚症状の中でも代表的なのが、気分が沈みがちになったり、イライラしたり、集中できなくなったりするといった症状です。

何に対しても意欲がなくなり、脳梗塞の後遺症に対してのリハビリも、やる気もなくしてしまいます。自分を責める、不眠の症状が出る、不安で仕方なく、元気が出てこないといった症状も、うつ病によくあります。自分が苦痛を感じていることを訴えもせず、引きこもってしまう人も中にはいます。周囲から見ていて、表情に影がある、反応が鈍くなった、食欲がないなどに注意してあげることも大切です。

うつ病の治療方法

脳梗塞の後遺症に比べたら、うつ病のリスクなどは、優先度が低いと思われることもあるかもしれません。しかし、うつ病を放置しておくと、脳梗塞の後遺症のリハビリにも影響を及ぼす可能性があります。リハビリをするのは、脳梗塞を発症した後に社会復帰を目指すためです。ところが、その意欲をうつ病が奪ってしまうため、脳梗塞からの回復を遅らせるだけでなく、生活の質まで落としてしまうことなりかねません。このような事態を防ぐためにも、うつ病の治療をすることが必要です。

うつ病の治療には、薬物療法と精神療法という2本の柱があります。医師の判断で、どの治療を選んでいくかが決定されます。薬物療法で用いられる抗うつ薬の種類はさまざまです。精神療法も同時に行われることが多く、うつ病が軽度であれば、精神療法単体でも薬物療法と同等の効果を得られる場合もあります。ただし、脳梗塞で脳にダメージを受けた場合ほど、抗うつ薬の効果が出にくいうえに副作用が出やすいといった傾向があり、注意が必要です。抗うつ薬によって、さらに精神状態が悪くなるようであれば、医師に相談したほうがよいでしょう。

接し方のポイント

脳梗塞の後遺症でうつ病を発症した患者の家族にできることは、患者に寄り添うことです。うつ病の人についやってしまいがちなのが、過度に励ましたりすることです。うつ病患者は既に自分を責めているため、励ますよりもゆっくり話を聞いてあげましょう。励ますことでうつ病の症状を悪化させてしまうこともあります。

また、うつ病の人が安心して休める環境を整えておくことも、家族ができる役割の一つです。迷惑をかけて申し訳ないと思わせないように接するようにしましょう。気分転換に外出に誘うなどの行為も、うつ病患者には辛い可能性があります。いつでも、好きな場所で休息していいというスタンスで見守ってあげましょう。

ただし、うつ病の人の不安に、家族が巻き込まれないよう、気を付ける必要もあります。焦りの中にいるうつ病患者を不安にさせないようにしながらも、自分達が焦って不安ばかりにならないようにすることが大切です。回復期にさしかかったら、生活リズムを立て直す協力も惜しみなくしましょう。

体験談

母は、脳梗塞を発症してから、自力で立つことも困難になったのですが、段々とうつの傾向が出てきて、さらに引きこもるようになってしまいました。慣れない車いすでの生活から、いろいろなことに意欲をなくしてしまい、脳梗塞発症前にはあんなに活動的に趣味に人づきあいにと楽しそうにしていたときと人が変わってしまったようです。

実は当初は途方に暮れてしまったのですが、介護スタッフさんの助けもあって、やるべきことやとるべき姿勢がわかってくるようになりました。例えば、マッサージをするのも、うつ病のケアに役立つなんて、初めて知ったのです。マッサージをしながら、母が積極的に話してくれる昔の話を聞くのが、今では日課になっています。眠ることも重要だということで、睡眠時間には気を遣っています。

こまめにケアしていると、母にも伝わるものがあるようで、ときには笑顔を見せてくれ、自分から積極的に話してくれるときも出てきました。あれほど億劫がっていたデイケアにも、自ら出掛けようとするようになり、見ていてこちらが嬉しくなります。自分で動いてくれるようになったことから、私達家族の負担が軽くなったのも事実です。正直、クタクタになる日も多かったものの、ここまで頑張った甲斐がありました。脳梗塞になってリハビリ生活に入るだけでなく、うつ病になることが生活の質を落とすことにつながると、身をもって知りました。根気よく取り組めば、家族が回復する日はやってくるということもわかった経験です。

先輩はどのように立ち向かったのか

事例は異なりますが、脳梗塞に立ち向かった先輩方や、その御家族がどんな取り組みをされていたのかを知ることはとても大切です。脳梗塞で倒れ、現在は復帰してプロスカウトをされている、元プロ野球選手の「柏原純一」さんと奥様の体験談をご紹介いたします

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