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夜間せん妄|脳梗塞の後遺症を乗り越えるために

脳梗塞の後遺症を乗り越えるために~症状と対策法~

夜間せん妄

夜間せん妄を引き起こす原因はさまざまですが、そのうちの一つに、脳梗塞などの脳血管障害があります。他の誘発因子にも脳血管障害と関係する部分があることがわかっています。夜間せん妄の対応には、発症ケースや原因、症状、治療方法などを知っておくことが大切です。

夜間せん妄が起きるケース

せん妄は、急性の脳機能障害として、脳梗塞や認知症などの脳血管障害患者によく見られます。幻覚や錯覚、不安、興奮などを急に発症し、症状が出たり消えたりするのが特徴です。

せん妄の原因は、大きく次の3つに分類されます。

1.準備因子

準備因子は脳の老化や動脈硬化が関係しています。高齢になるほどに脳が老化しているため、注意が必要です。また、生活習慣の影響により、起こる動脈硬化も準備因子となります。いわゆる、血液ドロドロになるような生活習慣を続けている場合は、すぐにでも改善したほうがよいでしょう。

2.促進因子

促進因子には、ストレスや睡眠不足、環境の変化などが関係しています。特にせん妄は、環境の変化に敏感になったり、ストレスを感じたりすることが、発症の引き金となりやすいです。

3.直接因子

直接因子は、脳血管障害や脳機能に影響をおよぼす疾患が関係しています。つまり、脳梗塞によって脳機能の働きを低下してしまうことが、夜間せん妄を引き起こす可能性を強くしているのです。脳梗塞の後遺症として、夜間せん妄を発症するケースは多いため、早いうちから予防や対策をすることが求められます。

夜間せん妄の症状

夜間に起きることが多いせん妄の症状は、過活動型・低活動型、そして両者の混合型という3つのタイプに分かれて現れることが多く、症状の現れ方は、数時間から数日の間に、急激に発症することがほとんどです。

過活動型がわかりやすい症状を見せるのに対して、低活動型は症状がわかりにくく、見過ごされてしまう恐れもあります。混合型は急激な症状を見せるときもあれば、ゆるやかに症状が出ることもあるといった具合で、なかなか判断が難しいところです。周囲が見ていて怪しいと思える症状があれば、早めに病院を受診することをおすすめします。

具体的な症状としては、注意力が欠けてしまう注意障害、記憶が欠落してしまう記憶霜害、感覚が鈍くなる知覚障害、意識の混濁などが代表的です。せん妄と認知症は混同されやすいのですが、認知症が脳神経細胞の変性や脱落によって、脳機能が欠損することが原因になっているのに対し、せん妄は一過性の脳機能の失調です。

そうはいっても、せん妄の症状が出るようになると、日中は寝てばかりいるような生活スタイルになる人も多く、周囲にも一過性とは認識し難い状況に感じられます。発見が遅れると、治療のスタートも遅くなってしまうため、最近昼寝が多くなった、夜中によく起きているといった生活スタイルの変化を見かけたら、せん妄ではないかと疑ってみたほうがよいでしょう。

夜間せん妄の治療方法

夜間せん妄の症状が出たら、暴れたり、転倒したりするリスクが高まるため、怪我を回避するためにも早急な対処が必要です。ときには拘束をすることもあり、薬物療法を用いることもあります。

しかし、拘束や薬物療法そのものが、誘発因子となってしまう可能性もあります。刺激に敏感になっているため、普段と違った環境に置かれることに、非常に強いストレスが加わるのです。人によっても、どのようなせん妄の誘発因子を抱えているかは異なります。高齢者の場合は、身体的にも精神的にも機能が低下している傾向があることから、せん妄を誘発しやすく、十分に注意が必要です。

誘発因子の改善をするためには、昼夜の区別をつけるために刺激を与えたり、カレンダーや時計などを整えておいたりすることも有効です。家族や医療関係者によって、話しかけを行うことも役立ちます。毎日散歩をするような簡単なことも、せん妄の治療となります。静かな環境を整える、興奮するような刺激を一度に与えないなどの工夫も必要です。

接し方のポイント

せん妄の危険因子となるのが、環境の変化やストレス、視覚や聴覚が敏感になること、身体の拘束などです。特に高齢者は、適応力が低くなっていますから、外的環境に刺激を受けやすく、せん妄の症状が出やすいと言われています。予防をするためには、誘発因子を蓄積しないような環境を整えることが大切です。

症状が悪化しやすい危険因子の一つに、周囲の言動があります。周囲が何を言っているか、しているかに不安を感じやすく、症状を悪化させる原因になってしまうのです。逆に予防策となるのが、患者さんに頻繁に顔を見せることです。わずかな時間でもよいので、話をしたり、挨拶をしたりするようにしましょう。患者さんが愛用している品を身近なところに置くなどの工夫も有効です。

このように、環境調整を行っていくことで、せん妄は予防することが可能です。暴れ出して手が付けられないと放っておくようなことはせず、早期に病院を受診し、自宅でもできることに取り組んでみましょう。

体験談

脳梗塞を患った母が、後遺症でせん妄を起こすようになってしまいました。昼夜逆転の生活を送るようになった母は、ときには真夜中にテレビをつけて大音量にすることもあり、家族も閉口していました。医者に診せると、せん妄によって事故が起こる可能性もあることを説明され、睡眠剤も処方されたのですが、こんなに眠ったままで大丈夫なのかと心配するほど長時間眠るようになったので、逆に不安になったのを覚えています。

午後には活動が始まりますが、やはり夕方頃から活動が活発になり、夜中に大声を出すようなこともあります。明け方には少し寝てくれますが、あまりよくない生活パターンから抜け出せないようです。車いすの上で生活するか、ベッドの上で横になるか、二者択一の世界で生活している母には、生活時間の区切りは難しかったのかもしれません。

ただ、病院にいるときでも、朝昼晩を感じることができ、少しでも体を動かすことがせん妄の予防になると聞きました。薬に頼る日々を送るよりも、できるだけ楽しい毎日を送ってもらえるよう、できる範囲で支えていきたいと思います。

先輩はどのように立ち向かったのか

事例は異なりますが、脳梗塞に立ち向かった先輩方や、その御家族がどんな取り組みをされていたのかを知ることはとても大切です。脳梗塞で倒れ、現在は復帰してプロスカウトをされている、元プロ野球選手の「柏原純一」さんと奥様の体験談をご紹介いたします

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