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脳梗塞の後遺症・高次機能障害

脳梗塞の後遺症の1つ、高次機能障害について解説。

脳梗塞の後遺症を乗り越えるために~症状と対策法~

高次脳機能障害

脳梗塞の後遺症のひとつ、高次脳機能障害について解説します。記憶障害、注意障害、認知障害など、日常生活や社会生活に影響を与えてしまう障害の特徴や、生活上の注意点、家族や周りの対応について考えてみましょう。

症状と対策

脳梗塞によって脳に損傷を受け、機能が低下すると、手足のしびれや麻痺、運動障害のほかに、記憶や認知にも影響が出てしまう場合があります。これらを総じて高次脳機能障害と呼んでいます。

この障害は「ハサミの使い方や箸の持ち方が分からなくなる」、「簡単な言葉が理解できなくて会話が成立しなくなる」、「少し前の出来事を思い出せなくなる」といった症状が出ることがあります。

日常生活で普通にできていた行為ができなくなったり、理解できていたことが分からなくなったりと、本人も周りの人も戸惑いが大きく、精神的な負担も大きくなります。さらに、手足やその他の部分の運動障害などと違い、外見では障害の内容が分かりにくいこともあって、周囲からの理解をなかなか得られないという点も問題であると言えるでしょう。

新しいことが覚えられない、古いことが思い出せない…記憶障害

高次脳機能障害の主な症状のひとつとして、記憶に関する障害があります。脳にダメージを受けたことによって発症する、いわゆる健忘症ですが、前向性と逆向性にタイプ分けできます。

前向性の健忘の場合は、脳梗塞を発症した後に起こった、新しい情報や出来事を記憶するのが難しくなります。さらに、新しい情報についての記憶を保持しておくこともできません。

逆向性の健忘は、脳梗塞を発症する前の記憶が消えてしまいます。特に、自ら体験した出来事、エピソードに関する記憶がなくなってしまうことが多いようです。

軽度の場合は、複雑な記憶や関連のない事柄を結び付けて覚える検査などで障害が分かる場合もありますが、日常にはさほど支障をきたさない程度の症状です。中度になると、昔体験したエピソードや古い記憶は残っていても、最近の出来事や複雑な事柄の記憶などが難しくなるそうです。

重度になると、前向性、逆向性の両方で健忘が見られ、すべての記憶ができない状態になります。

集中力が続かない、片側の空間を認識できない…注意障害

注意障害の主な症状として挙げられるのは、集中力が長時間続かない全般性注意障害と、脳梗塞が起こった側の反対側にある物が認識できなくなる半側空間無視があります。

全般性注意障害は、1つの作業や事柄だけに集中するのが難しく、ほかの作業や刺激に注意を奪われてしまうことが多くなってしまう障害。作業訓練をすると、始めは集中して行っていても時間が経つにつれて作業効率が悪くなります。ほんの15分も集中できない場合もあります。

半側空間無視は、右の頭頂葉を大きく損傷した場合に左側の半側無視として現れやすいと言われています。この場合、左側にある物や刺激を認識できず、ぶつかったり見落としたりする症状が出ます。左側の視界が欠落する左同名半盲とは違い、見えていても認識できない障害です。

軽度の場合は、一時的に半側無視が起こる程度ですが、中等度になると常に左側を無視してしまいます。重度になると常に体が右側を向いていて、指摘されても左側を向くこともできなくなります。

計画通りにできない、感情をコントロールできない…行為障害

行為障害はさまざまなタイプが見られますが、大きく分けると遂行機能障害と社会的行動障害とがあります。

遂行機能障害は、目的に合わせた行動を計画できず、目的達成のための行動を選び取ることもできません。しばしば場当たり的に行動してしまって失敗し、その失敗を何度も繰り返してしまうことが多くなります。

社会的行動障害は、イライラや怒りなどの感情をコントロールするのが難しくなり、家族や看護者に対して暴力や暴言を吐いたりする情動のコントロール障害や、対人スキルが低下したり、病的に依存や固執が起こったり、といった反社会的な行動が表れます。

中には、自発的な活動や意欲が著しく低下して、運動障害がないのにベッドから起きなくなる症状もあるそうです。

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