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廃用症候群|脳梗塞の後遺症を乗り越えるために

脳梗塞の後遺症を乗り越えるために~症状と対策法~

廃用症候群

脳梗塞で寝たきりの状態になったときに気を付けたいのが、廃用症候群です。寝たままでいることで、筋力や骨の力、血流なども悪くなり、精神的にもやる気がなくなってきます。廃用症候群について、見ていきましょう。

脳梗塞と廃用症候群の関係

脳梗塞になると、長期間にわたって、寝たきりになることもあります。長い間ベッドに横たわって安静にしていると、その影響で、廃用症候群になる人もいます。起き上がることも、歩くこともできなくなり、筋力も精神力も落ちてくるのです。

体を動かさず、筋力が衰えてくると、関節の動きも鈍くなってきます。やがては全身の機能が低下して、完全に寝たきりから回復しなくなるという悪循環を招いてしまうため、脳梗塞の再発リスクも高まります。廃用症候群になると、血管に血栓ができやすくなる、血栓塞栓症を起こす確率も高いためです。脳梗塞になったら、廃用症候群に陥らないように、治療や介護の受け方に、本人も周囲も気を配る必要があります。

廃用症候群の症状

廃用症候群は「生活不活発病」とも呼ばれ、体の組織や器官が次第に萎縮し、衰弱してくる状態です。人の体は、活発に活動しているときには機能や能力が高くなりますが、使用しなければ衰える一方です。安静にし、寝たきりに近い生活を送ることによって起こる症状の総称が廃用症候群ですから、その症状は全身に現れます。人それぞれに、幅広い症状が現れるのも廃用症候群の症状の特徴です。

体をあまり動かさないでいることから、筋肉がやせ衰えて、関節の動きが鈍くなってくると、心機能まで低下してきます。骨ももろくなってきて、立ち上がるとふらつくというような起立性低血圧にも見舞われます。手足の筋力が低下するばかりか、飲み込む力が弱くなり、唾液や食べ物が肺に入ってしまう誤嚥性肺炎に陥ることや、胃の内容物が食道に逆流してしまう、逆流性食道炎になることもあるでしょう。廃用症候群の症状の種類は、肉体だけでなく、精神にもおよびます。気持ちが落ち込んで、うつ状態になり、気力や意欲がなくなってくるのも、廃用症候群の症状の一種です。

そればかりか、血流も低下してくるため、血栓ができやすくなり、脳梗塞を再発しやすい事態にもなってしまいます。意識的な障害である、せん妄や見当識障害などを起こすこともあるでしょう。寝てばかりいて、いわゆる床ずれの褥瘡(じょくそう)が生じることもあります。

廃用症候群の治療方法

特に高齢者の場合、脳梗塞から廃用症候群になる可能性が高く、いったん廃用症候群になると回復が難しいといわれます。廃用症候群になったら治療すればいいという考え方よりは、廃用症候群にならないように予防対策に集中しましょう。

症状の種類によっては、投薬によって治療を行うこともあります。例えば、せん妄なら精神神経用の投薬、心機能や誤嚥性肺炎などにも一般の病気と同じ治療薬が処方されるといった具合です。ただし、薬に頼ることよりも大切なのは、元の生活に戻ることです。脳梗塞の原因となった病気が治ったら、早めに自宅に戻ることも廃用症候群の予防法の一つなのです。

脳梗塞の発症直後から1ヶ月を急性期といいますが、安静にといわれるこの時期からリハビリをスタートするのも、廃用症候群を予防するポイントです。寝たきりで安静にしている状態こそが、廃用症候群の原因となるため、脳梗塞のリハビリにも支障が出てきます。脳梗塞のためのリハビリが遅れるだけでなく、その効果も低下することを防がなければなりません。ただ、急性期のリハビリは、回復期のリハビリとは異なり、定期的に患者さんの身体の向きを変えたり、麻痺した手足の関節を動かしたりといった内容で、体を動かすことそのものが目的となります。

寝たきりでいることによって引き起こされる廃用症候群は、放っておくと悪循環の一途をたどります。対策としては、急性期からリハビリを定期的に続けていくことです。動かせる部分はできるだけ動かすように意識し、まずはベッドから起き上がるようにする、起き上がれたら車いすや歩行のリハビリをするなどの対応が大切です。

接し方のポイント

脳梗塞によって寝たきりの状態になってしまうと、ベッドの上で生活することが多くなり、次第に改善しようという気持ちも薄れていきます。すると、廃用症候群が認知症を引き起こす恐れもあります。認知症も進行性の性質ですから、予防することが大切です。そのためには、廃用症候群の予防によって、寝たきり状態を改善していく必要があるのです。

廃用症候群の予防対策は、精神的なケアにもつながります。逆に、精神的なケアが、廃用症候群の予防にもつながるため、双方でメリットを与えあえるような予防策をとっていきましょう。脳梗塞で入院生活が始まると、病院での生活に落ち込みがちになります。介護する人が、こまめに声をかけ、優しく接することが功を奏します。また、体力的な予防法としては、自宅でマッサージを行ってあげることも有効です。理学療法士からマッサージ方法を学び、心身に寄り添ったケアを行うようにしましょう。

体験談

家族が脳梗塞になり、脳梗塞についていろいろな情報を調べたつもりでしたが、リハビリのケアができるのかなどの不安がありました。しかも、脳梗塞のリハビリは急性期から始まるということで、学んでおいたほうがいいかと思い、理学療法士さんのリハビリ法をしっかりチェックしておいたのです。急性期のリハビリは、廃用性症候群を防ぐためにも役立つのだと理学療法士さんから教わり、家でもできることを聞けてよかったです。

廃用性症候群の予防は、脳梗塞のリハビリにも役立つそうです。逆に、廃用性症候群の予防をしておかないと、脳梗塞のリハビリにも影響が出ると聞きました。おかげで、全てのリハビリが比較的順調に進み、今では私も本人も、以前の生活に近づけることができていると思います。

特に、リハビリにも段階があると知り、本人ともども家族も焦ってはいけないのだと理解できたのはよかったです。これからも家庭でのリハビリは続くので、コツコツと気長に、かつこまめに声かけをしたりして、家族で一致団結してやっていきたいと思います。

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