よくわかる脳梗塞の予防・治療Navi

脳梗塞の慢性期に行われる治療

これでコワくない! 脳梗塞の予防&治療の最前線

おさえておきたい脳梗塞治療の基本

脳梗塞の慢性期には
どのような治療が行われる?

脳梗塞は再発するリスクが高い疾患として知られており、一度完治しても、3年以内の再発率は20%~30%といわれています。さらに、再発するごとに重症化するケースも多いため、再発予防の治療は欠かせないものといえるでしょう。脳梗塞の慢性期に行われる治療を紹介します。

脳梗塞の慢性期とは

脳梗塞が発症してから1カ月目以降が慢性期です。この時期になると症状が落ち着いてくるのですが、再発予防のために治療は引き続き行われます。脳梗塞の急性期の治療は、固まった血液を溶かす薬や脳を保護する薬を用いることで脳へのダメージを最小限にとどめるためのものです。

一方、慢性期では症状が安定しているため、後遺症を持った患者さんが生活の質を維持できるようにリハビリで機能の回復を促す、脳梗塞の再発を予防するという点に重きを置いていきます。再発予防のためには血栓ができにくくなる薬を使ったり、手術を行ったりします。また、脳梗塞の原因となる高血圧や糖尿病、脳梗塞の再発のリスクとなる生活習慣の改善することも大切です。

慢性期に行われる治療

血栓は脳梗塞の発症原因のひとつでもあり、血栓を作らないことが脳梗塞の予防にも繋がります。そのために行われるのが抗血栓療法であり、血液を固まりにくくする効果が期待できます。この治療法で用いられる薬は、抗凝固薬と抗血小板薬の二つです。

抗凝固薬

静脈などで血液が滞ることで血栓ができている場合には、抗凝固薬が使われます。日本で使われている抗凝固薬はヘパリン、低分子ヘパリン、ダナパロイドナトリウムなどがあり、これらはいずれも注射薬です。また、重篤な症状が出た場合に使われるものであり、経口投与できる抗凝固薬は「ワルファリン」のみです。

ワルファリンは内服薬のなかでも血栓の発生を抑制する効果が高く、ビタミンKの働きを抑えることで血液をサラサラにします。しかし、飲み始めてから効き始めるまでに時間がかかることや人によって効き方に違いがあるなどの問題もあります。また、出血が止まらなくなるという副作用もあるため、医師の指示のもと服用することが大切です。

抗血小板薬

アテローム血栓性脳梗塞やラクナ梗塞の患者さんには、血小板の働きを抑えることが必要になるため、抗血小板薬が使われます。最も使われている薬がアスピリンです。血小板の働きを活性化させるトロンボキサンA2を作る酵素の働きを妨げて、血小板同士の結合を抑えます。

そのほかにもクロピドグレルやチクロピジン、シロスタゾールなどの薬があるのですが、患者さんによって使い分けられます。これは、血小板の働きには様々な仕組みが関係しているためです。また、薬によって効果や副作用も異なるため、薬についての説明を理解して定められた量を服用しましょう。

血管内治療

また、血管内治療というカテーテルを使って脳血管を治療する方法もあります。この治療法はメスを使わないため、患者さんにかかる負担は少なく高齢者の方でも行うことができる点がメリットです。カテーテルの先端につけたバルーンにより血管を押し広げ、その状態を金属製の筒で固定することで血管は拡張されます。

血管内のプラークを取り除く方法ではないため、以前はプラークのカスが脳血管を詰まらせてしまうことがあったのですが、近年ではカテーテルが改良され治療法の信頼性は高まっています。

再発予防のための手術

慢性期に行われる治療として手術を行うこともあります。上記で紹介した薬を使用することで予防は可能ですが、頸動脈の動脈硬化により狭窄してしまうことや脳梗塞が起こることで脳の血液の流れが悪くなっていることがあります。その場合では、再発予防のための手術が効果的です。

頸動脈内膜剥離術(CEA)

頸動脈は、動脈硬化が発生しやすい部位です。ここの狭窄が強くなると、脳梗塞が再発するリスクは高まります。この狭窄に対して行う治療が頸動脈内膜剥離術です。この治療法は効果が高いといわれており、症候性で70~99%の狭窄率が見られた患者さんの場合、手術をすることで危険率が26%から9%にまで減少しています。また、無症候性の場合でも、狭窄率60%以上の人が手術を行うことで、約10%の危険率を約5%まで減少させることができたというデータも出ています。

頸動脈内膜剥離術は頸動脈を露出させ、血管を切り開き、プラークを取り除く手術です。そのため、全身麻酔で行われます。また、血管の切開や縫合の際に脳への血流が一時的に止まってしまうのですが、短時間で行われるため問題はありません。

バイパス手術

脳の主観動脈が閉塞していても他の血管から血流が流れることで、軽い症状でとどまっていることがあります。しかし、血流は悪化している状態のため、放置しておけば脳梗塞が発生する危険は高いです。その場合に用いられるのがバイパス手術であり、血液の迂回路を作ることで血流の改善を目指します。

一般的なバイパス手術は、頭皮にある浅側頭動脈と頭蓋骨内の中大脳動脈の枝につなぐ方法です。脳梗塞によって後遺症が起こった人でも、脳の血流が改善されることで症状の回復が期待できます。また、脳梗塞が再発するリスクが低下するといわれており、バイパス手術により再発の危険が73%減少したという研究結果もあります。

しかし、動脈硬化そのものを治すわけではないため、動脈硬化が進行することでバイパスの血流が悪化することがあります。そのため、生活習慣を見直し動脈硬化の予防に努めることも必要です。

生活習慣の改善

慢性期に行われる治療法を紹介してきましたが、脳梗塞の原因である動脈硬化が進行してしまえば再発するリスクは高まります。動脈硬化の予防がそのまま脳梗塞の再発を防ぐことにつながるため、治療と並行して生活習慣の改善に取り組みましょう。

そのなかでも食生活の改善は効果が期待できます。LDLコレステロール(悪玉コレステロール)は血管内にできるプラークと密接な関係があり、LDLコレステロール値が高いほど動脈硬化による病気にかかりやすくなることが明らかになっています。普段の食生活で肉類や油を使った料理が多い人は注意が必要です。

野菜やきのこ、海藻類に豊富に含まれている食物繊維には、コレステロールを減らす役割があります。魚介類や大豆製品にも同様の働きが期待できるため、日々の食事に取り入れていきましょう。また、食事から摂ることが難しい成分を含んでいるサプリメントを活用することもおすすめです。

当サイトについて

当サイトは、「よくわかる脳梗塞の予防・治療Navi」編集部が管理・運営する情報サイトです。脳梗塞の方やそのご家族に向け、お役立ちできる情報をできる限り分かりやすくまとめております。掲載コンテンツは、信憑性の高い情報を元にオリジナルの記事を掲載しております。
また、当サイトのご活用に関しましては自己責任のうえ、当サイトでは責任を負いかねますことをご了承ください。

よくわかる脳梗塞の予防・治療Naviについて

今日からはじめよう!脳梗塞の再発予防
Symptoms 知っておきたい脳梗塞の種類とその症状
Diseases 脳梗塞と深い関係のあるさまざまな病気