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脳梗塞の入院中

これでコワくない! 脳梗塞の予防&治療の最前線

おさえておきたい脳梗塞治療の基本

脳梗塞での入院中に行われる治療

家族が脳梗塞で入院すると、どのような治療が行われ、どれくらいの期間入院するのか不安になると思います。この記事では、脳梗塞の治療とリハビリ、そして入院期間について解説します。

入院中の過ごし方

発症直後

脳梗塞は、発症後は集中治療室などに入室し治療を受けます。集中治療室では、様々な専門的な治療がおこなわれるのはもちろんですが、面会が制限され、より安静を保つ必要もあります。しかし、面会時に身体を大きく動かすなどの強い刺激を与えない限り、声かけや手をさするなどの行為は、許されることが多いです。なにより、患者さんも安心するため、面会時は許可をもらい、患者さんを安心させることを心がけましょう。

食べ物を飲んだり、食べたりすることは出来ないことがほとんどのため、医師の許可がない限り持ち込むことは控えてください。患者さんものどの渇きや空腹を訴えることが多く、辛い時期なので耳を傾けてあげましょう。

リハビリの開始

入院してから24時間が経過し、脳の血管が詰まった部分を溶かす治療による副作用である脳出血がないことが確認されると、リハビリが開始されます。「安静にしておく必要があるのに、リハビリ?」と疑問に思われるかも知れませんが、実は、発症後72時間以内にリハビリをはじめた方が、入院期間が短くなることやその後の日常生活動作が良くなることがわかっているのです。

 

リハビリと聞くとリハビリ室や訓練室で理学療法士さんや作業療法士さんが付き添い、歩くような訓練を想像する方が多いと思いますが、まだそうしたリハビリは行いません。発症してまもなくの急性期のリハビリは、ベッド上で行います。具体的には、ベッドサイドに1日1回45分ほどを目安に、理学療法士さんと作業療法士さんが来て、肩や腕、足の曲げ伸ばしをするなどです。これを関節可動域訓練といいます。

安静のまま寝たきりになっていると、徐々に関節自体が固くなってしまい動かなくなってしまいます。これを拘縮といい、拘縮してしまうと、いざ歩こうとしたとき、うまく曲げ伸ばしが出来ず、思うように歩くことができません。そうすると、座りっぱなしや寝たきりの状態が長くなり、ますます拘縮がすすむという負のスパイラルにおちいるのです。

はじめは、理学療法士さんや作業療法士さんの力によって関節を曲げ伸ばしするのですが、少しずつ患者さんの自分の力で曲げ伸ばしをするような訓練に変わります。この時期は、安静の期間が長いため筋力が落ち、曲げ伸ばしするだけでも非常につらく感じます。同時に、患者さんの心情としても、自分はこれくらいのことも出来ないのかと悔しく感じてしまう時期です。そのため、ご家族はその辛さに耳を傾け、頑張っていることや少しずつ出来るようになっていることを本人に伝えてあげるようにしましょう。

より進んだリハビリへ

次の段階として、歩行したり車椅子に乗ったりするような訓練へ移行する前に、頭部挙上負荷試験といって、ベッドに寝たまま少しずつベッドの頭側を30度、60度、90度と上げていき、血圧や心拍数、呼吸数、意識の状態に変化がないかどうかのチェックがあります。これで変化がなければベッドの端に腰をかける端座位という姿勢や、ベッドサイドに立つという訓練に移行していくのです。

 

この時期の訓練は、麻痺によるバランスのとりにくさや筋力低下を防ぎ、強化していくことと、身体の使い方を身につけていくような内容になっています。このような訓練が始まった頃から、集中治療室から一般病棟へ退室することが多いです。さらに発症してから1ヶ月ほど経つと、回復期とよばれる時期になり、リハビリを専門とする病院や病棟へ転院、転棟します。そうした病院や病棟へ移ると、訓練室で歩行の訓練を行うなど、一般的なイメージのリハビリが積極的に行われるようになるでしょう。

脳梗塞の入院期間

一言に脳梗塞といっても、ちょっとしゃべりづらいという軽度なものから、意識が全くなく呼吸が自分では出来ないという重度なものまで範囲が大変広くなっています。軽度な脳梗塞だとその日のうちに帰宅の許可が出る場合もありますし、重度なものだと1ヶ月以上入院する場合もあるのです。

厚生労働省のデータによると、脳梗塞の入院期間はおよそ90日とされています。発症してから治療する病院は急性期病院といい、医療保険上原則60日間しか入院することが出来ません。その後は、リハビリなどを主に行う回復期病院へ転院します。したがって、脳梗塞の患者さんの多くは急性期病院と回復期病院の2カ所に入院し、高齢の患者さんなどで、回復期病院でも自宅に帰れるほど状態が良くない場合には慢性期病院へ転院となります。脳梗塞の重症度や患者さんの状態により入院する場所や入院期間は変化していくのです。

入院中の注意点

注意しなければならないのは、急性期病院から回復期病院に誰でも転院できるわけではないという点です。脳梗塞による症状が重く、長期間治療が必要となるなど、急性期病院での治療が発症から2ヶ月が経過してしまうと回復期病院へ移れなくなってしまいます。そのため、急性期病院に入院している間から、回復期病院への転院について医師をはじめとしリハビリスタッフや看護師、相談員と相談しておくことが大切です。

また、脳梗塞で入院している患者さんを目の前にすると、ご家族の多くはまだまだ入院が長びきそうだと感じます。それは、医師による治療、看護師さんによるケア、複数のリハビリスタッフによるリハビリが行われるからです。しかしながら、回復期病院は最長150日しか入院できません。また、誰しもが150日入院できるわけではありません。身体的な回復状態に応じて、自宅での生活、リハビリへ移行していくことになります。

実は、制限があるのは入院期間だけではありません。1日あたりのリハビリの時間も制限があります。回復期病院に入院している間は1日あたり最大で3時間のリハビリを受けられますが、退院後は1ヶ月で4時間20分しか受けることが出来ません。これは、リハビリの目的が状態を改善させることから、状態を維持させるために変わるためです。そのため、保険上該当する疾患であり、医学的にリハビリを行うことで、状態を改善させると判断されると、外来でのリハビリの時間も1日あたり2時間まで拡大することが出来ます。

体験談

これから、脳梗塞を発症した3名の患者さんを目の当たりにしたご家族の体験談をご紹介します。

父親が脳梗塞を発症したAさんのケース

私の父は、ある日突然目がかすむようになり、大好きだった麻雀の牌まで見えなくなることで発症しました。しかし、目がかすむだけで脳梗塞だと気がつかず、そのまま様子を見ていましたが、徐々に左半身が動かなくなり、知人の紹介で大学病院を受診し、脳梗塞の診断で入院。入院中はさらに脳の血管が詰まらないようにする薬と、リハビリがメインの治療が行われました。

 

病棟では看護師が常に目の前にいるわけではないので、目が見えない父が、ときにベッド柵から足が出て引っかかってしまうようなことがありました。しかし、私たちだけで常に付き添うことは出来ません。そのため、私は家政婦紹介所を利用して、付き添ってくれる人をお願いし乗り切りました。入院中のリハビリでは、徐々に歩けるようになったことで、病院の外へ出て一緒に花を眺めたりすることができるようになったのです。

眼の悪い父は、なかなかそれがどのような花なのかを判断することが出来ないのですが、たまにうまくピントが合うと花の名前を当てられることもありました。私と父は、家族一緒になってリハビリをすることで脳梗塞という病気を乗り越えました。

夫が脳梗塞を発症されたBさんのケース

私の夫が入院したとき、入院環境と脳梗塞の影響で混乱し、医師の勧める治療法に対し拒絶的になってしまったのです。私を含め家族全員が、そのような状況を目の前にして困惑しました。しかしそれでもめげずに、家族みんなで話し合い、先生の説明を共有して、自分達で先生の説明を調べることで、混乱している夫を目の前にしながらも、その治療が必要であることを説明し、受け入れられるようにサポートしていきました。このサポートにより、夫は治療に対して納得してうけることができ、また私も他の家族と現状や治療方法について理解し共有できたので、家族のうち誰か1人に対して負担がかかりすぎるようなこともなく、無事にすごすことができました。

 

おそらく、私1人で抱え込んでしまったら、乗り越えられませんでした。他の家族と一緒に、現状を調べて理解してから共有し、どのような治療方法が良いのか夫に変わって代弁したことが良かったのだと思います。

父親が脳梗塞を発症したCさんのケース

私の父は脳梗塞を発症後、急性期病院を経て、回復期病院へ転院しました。転院に際しては、相談員さんなどの勧めもありました。しかし、急性期病院では歩行器を使用し歩行することが出来るようになってきたのにもかかわらず、回復期病院では、車椅子の上にのせられ、転落予防のシートベルトをされたままだったのです。私が看護師さんに聞いたところ、常に患者さんのそばにいるわけではないので、気がつかない間に転落する可能性があるためだといわれました。しかしその結果、急性期病院と比べ、全然リハビリが行われないような状況になってしまったのです。

 

私は、ケアマネジャーさんなどからリハビリが積極的な他の病院の方が良いですよと勧められました。このときに感じたことですが、転院に際しては、先生や相談員のすすめだけではなく、私がどのような病院が良いのか、ケアマネジャーさんや周りの人に聞くなどして調べることが大切だと痛感しました。

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