よくわかる脳梗塞の予防・治療Navi

脳梗塞発症後の復職

長く向き合う脳梗塞発症後の生活

脳梗塞後の復職について考えてみましょう。

働き盛りのお父さんが脳梗塞になってしまったとき、どうしたらいいのでしょうか。危険な状態を免れた後にも、闘病生活は待っています。脳梗塞になった患者さんが社会復帰を希望するとき、どんなところに気をつけたら良いのか紹介します。

退院後、仕事に復帰することは可能?

脳梗塞になっても、復職できる見込みはあります。しかし、利き手が使えない状況や記憶障害、精神症状が目立つ場合は復職が難しくなるケースもあり、職場復帰を急ぎすぎないように注意しましょう。身体の状態に合わせた職場のフォローが求められますが、十分な支援体制が整っている会社ばかりではありません。病気の経過やリハビリの進行度合いについて正しく理解、会社への橋渡しを行うキーパーソンが必要でしょう。産業医や人事部、入院先の病院など関係者の意見をとりまとめて、どんな復職方法にしたら患者さんの負担を軽減できるか、よく話し合って決めましょう。

脳梗塞発症後の復職率

脳梗塞発症後3〜6ヶ月くらいで、25%弱が復職していることを示す調査があります。18ヶ月後までに約40%の方が復職していて、それ以降は横ばいです。脳梗塞になってから1年半以内を目処に、復職を検討しましょう。もちろん、患者さんによってリハビリの進行は変わってきます。医師やリハビリ担当者と連携を取り、状況を見ながら判断していくことが大切です。早い段階から復職を検討したリハビリを開始することで、良い結果が得らやすくなります。具体的なリハビリ例を下記で紹介するので、参考にしてみてください。

1.医学的リハビリテーション

薬物治療や外科的治療を通して、脳梗塞の急性症状に対応します。ベッドから起き上がれない段階から計画的にリハビリをして、寝たきりを予防するのが通常です。状態が落ち着いたら、ベッドから起き上がる訓練に入ります。まず車イスに乗ることを目標にして、歩行練習へと進みましょう。補助レベルに応じたサポート器具がいろいろあり、より自由度が高い歩き方をマスターしていくプロセスです。

2.生活訓練

食事や排泄行為など日常的な動作に支障がでにくいように、トレーニングを進めていきます。麻痺した手を使ってボードを指差したり、利き手を交換したり。一人一人の状態に合わせた訓練内容を組み立てて、計画的に進めていきます。更衣のトレーニングは、判断力や考察力を鍛えるためにも重要です。どうしたらスムーズに着替えができるか考えて、段階的に身体を思い通りに動かす練習を行います。

3.社会的支援

障害者支援施設が中心となって、就労サポートを行います。復職に必要なスキルを身につけるトレーニングや復職の働きかけなど、患者さんの希望にあわせた支援を実践していきます。状況を正しく把握して、どんな仕事なら負担なく継続できるかを見極めます。起こりうるトラブルを特定して、職場への橋渡しをする取組みも重要です。職場への状況説明を行うことで脳梗塞の患者さんへの理解を促し、不安なく仕事ができる基盤つくりを進めていきます。

復職しやすいケース

復職にあたって最初にチェックされるのは、本人の意向です。「もう一度頑張りたい」という決心が強いほど復職につながりやすく、モチベーションになるでしょう。人事部からの印象も良くなるため、会社として真剣に検討しやすい状況になります。復職可否判断で復職可能と判断された後に、具体的な配置や仕事内容を話し合います。

身体の状態を客観的に把握するため、産業医との面談も入ります。主治医から聞いている内容をもとにして、業務への影響や身体の状態を伝えましょう。後遺症やリハビリの進行度合いは、患者さんによって変わってきます。現状を正しく伝えて、前向きな話し合いをしましょう。社会的支援として就業サポートを受けている場合、仲立ちをお願いできるケースもあります。また、就労意欲があったとしても、重い後遺症が残ってしまうと復職に支障がでることも考慮しておきましょう。高次脳機能障害や精神機能障害が見られると、復職は慎重に検討されます。

復職後の仕事内容

営業や販売業務などお客さまと接する仕事を離れて、デスクワークが中心に部署に配置されるケースが一般的です。淡々と作業をする仕事を検討されることが多いため、その環境において自分なりのやりがいを探していく努力が必要になります。発症前の部署に戻れないことが影響してモチベーションが下がってしまうと、復職がスムーズに進まないことがあります。

職場環境としては、フレックス勤務やリハビリ出勤ができる体制が求められます。いきなりフルタイムの勤務が難しいと判断されたら、週に3日勤務など可能な範囲の通勤から、無理なくはじめていくのも良いでしょう。後遺症の状況について会社としても正しい理解を進めて、医師やリハビリ担当者と連携しながら復職可否は考えられていきます。

リハビリと並行でも仕事はできる?

自宅療養の際に、リハビリを継続しながら復職を進める方もいます。リハビリ結果を会社に連絡して就労可否判断を行い、試験的な復職から始めるとスムーズに進むことがあります。その場合、社会的支援を行う担当者が主体的に動き、職場環境を確認するなどの配慮も必要です。また、実際に復職して気付いた問題点をクリアできるように、新しいリハビリを開始するケースもあります。当初の医学的就労支援では足りなかったスキルを補って、社会復帰しやすい技能を養っていく流れです。

重い後遺症が残ってしまうと、一般就労は困難と判断される方もいるでしょう。しかし、無理に元の職場に復職するより、身体に負担がかかりにくい転職先を検討するのも一つの選択肢です。いきなり社会復帰するには不安が大きい場合には、職場体験を利用する方法もあります。後遺症を抱えながら社会人としての生活リズムを取り戻すのは、思っているよりも大変なことです。決まった時間に身支度して出社できるか、実務に耐えられるスキルが身に付いているかなど社会人として最低限求められる部分を事前に確認していきます。課題が見つかったらリハビリ計画へ落としこみ、解決を目指していきましょう。

どの程度回復すれば復職できるのか?

どの程度まで回復したら復職できるかは、仕事内容によっても変わってきます、一概には言い切れないケースが目立ちますが、手指の機能障害との関係が示唆されます。キーボードの操作や手先を使った作業ができるレベルまで回復すれば、復職できる可能性を検討しましょう。下半身の麻痺があったとしても、杖や器具を使ってサポートできる手段はあります。工場作業など比較的単純な仕事の場合、手先を使った仕事がメインになる傾向は顕著です。現在の仕事が難しく職場の理解も得にくい状況なら、リハビリ結果から考えた就労可能職種に転職を検討する方法もあります。

また、仕事で困ることがある場合、まずは人事部や上司に相談しましょう。病気になった人を受け入れる体制が会社にできれば、その後同じ状況になった人への良いバトンとなります。病気と戦う人であっても安心して社会参加できる体制が整うように、会社と患者さん、主治医などの関係者が一丸となって取り組む姿勢が重要です。

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