よくわかる脳梗塞の予防・治療Navi

脳梗塞の予後~家族で考えよう脳梗塞発症後の生活~

家族の悩み脳梗塞発症後の生活・予後

発症前と変わる脳梗塞後の暮らし方とは

脳梗塞発症後の生活、経過・予後を学ぶうえで知っておきたい情報をまとめました。脳梗塞を発症した家族を支える方たちの「これからどうしよう?」「こんなときどうしたら良い?」に対する回答を種類別に見ていきます。

脳梗塞の予後の生活を学びましょう

回復後の復職について

40%の人が仕事に復帰できる

働きざかりで脳梗塞を発症すると、復職できるか気になるものです。後遺症や予後によって対応が変わるものですが、病気を乗り越えて社会復帰を果たす方もいます。復職する際の注意点やリハビリの進め方について、正しい知識を持ちましょう。

脳梗塞発症後の復職率は、40%前後ともいわれています。一定数の患者さんが何らかの仕事を始めているので、不可能ではありません。そのためには復職前提のリハビリに早い段階から取り組むことがポイントになります。リハビリと聞くと入院後期に行うイメージがありますが、体力維持を目的にしたリハビリも重要です。医学的リハビリテーションや生活訓練を通して、日常生活に支障が出にくい状態を目指していきます。これらの活動と併行して、復職を念頭においた社会的支援も検討しましょう。社会的支援のなかでは、職場の人事担当者と面談して、会社の環境作りを促す取組みも含まれます。後遺症について専門的な知識を持つ立場から助言することで、スムーズな復職につながるでしょう。フルタイムの仕事が難しいと判断した場合には、復職トレーニングからはじめるケースもあります。仕事を行ううえで必要な技能を回復させて、職場復帰を目指していく流れです。

家族ができるサポートとしては、前向きな気持ちを後押しすることです。「もう一度仕事がしたい」と考える気持ちがなくなってしまうと、復職が難しくなります。復職後の仕事では、身体に負担がかかりにくい配置転換が検討される可能性が否めません。気持ちを切り替えて復職したとしても、人間関係でストレスを感じて、つまずく方もでてきます。リハビリや後遺症に対する職場の理解が得られないと、スムーズに仕事はできません。職場としては十分に配慮しているつもりでも、患者さん本人の感じ方は様々です。周囲の目を気にして自己評価が下がってしまうケースもあるため、メンタル面を重視した予後観察が必要でしょう。元の職場に復職が難しい場合には、公的サポートを利用した転職も検討できます。家族としてどんなサポートができるのか、医師やリハビリ担当者とよく話し合う機会を持って、復職に向けた総合的なアプローチを考えましょう。

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家族との過ごし方、家族との心構え

仕事と介護の両立を目指そう

脳梗塞発症後の生活では、これまで当たり前にできていたことも難しくなってしまいます。自宅療養を選んだ患者さんのために、家族ができるサポートを検討しましょう。患者さんと一緒に過ごす家族の接し方によって、リハビリの予後が変わるものです。家族を介護する立場になってもうろたえず、正しい知識をもとにした前向きな取組みが求められます。

脳梗塞を発症した家族と生活を共にするなら、病気への理解が重要です。脳梗塞の後遺症について理解して、自宅療養に入る家族を迎えましょう。後遺症の出方やリハビリの進捗は、患者さんによっても変わってきます。医師や看護師から状態を聞き、本人ができることや難しいことを知っておくと安心です。夫婦のどちらかが脳梗塞を発症したケースでは、パートナーに介護を頼りがちになります。そのため、負担が集中して介護疲れに悩む方もいます。他の家族のメンバーも一丸となった取組みが大切です。家族環境によっては、離れて暮らしている方まで含めた役割分担が必要になるでしょう。

仕事と介護をしっかり両立していくためには、公的サポートの活用も検討できます。入院中から介護認定手続きなどを計画的に進めていって、患者さんが安心して生活できる環境を整えましょう。公的支援の活用は、経済基盤を支える手段としても重要です。生計を維持していた方が脳梗塞を発症した場合には、家族の生活への影響が不安になります。パートナーの代わりに仕事を始める方もいるはずなので、介護の負担が重過ぎるのは問題です。そのため、介護をしながら仕事を続ける方法の検討が必要です。

脳梗塞になった家族を思いやる気持ちは重要ですが、自分の生活の全てを患者さん中心に考えるのはリスクです。介護にかかりきりになってしまうと、精神的な負担も大きくなります。感情の起伏が大きい症状が見られる場合は、慎重に対処しましょう。一生懸命介護に取り組んでいるつもりなのに、怒りを真っ向から受けてしまうと、どうしたら良いのか困ることもあります。脳梗塞の後遺症として認知症やうつ症状が見られるケースもあり、専門的なケアが必要になる場合もあるでしょう。状況によっては、メンタルヘルスを扱う医療機関への受診も検討することも大切です。自分だけで問題を抱え込まずに、相談できる相手に話をする機会を持ちましょう。

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仲間を作ることの重要性

リハビリ仲間が心身を支える

分からないリハビリ生活に嫌気がさすと、定期的な取組みが難しくなります。挫折経験がネックになって、あらゆる物事に対する意欲を失うリスクも理解しましょう。そこで検討したいのが、脳梗塞を経験した仲間を探す取組みです。共感できる仲間がいるだけで、いろいろなメリットが考えられます。

同じ後遺症に悩む仲間がいれば、行き詰まったときに相談できます。脳梗塞を経験してリハビリを続けている先輩患者さんと知り合うと、前向きな考え方もでてくるはずです。つらいのは自分だけではないと理解するだけでも、将来的な見通しが明るくなるケースがあります。生活の中で困ったことがあったらどうするかなど、経験者同士だから分かり合える話もあるでしょう。後遺症を乗り越えて社会復帰した体験談を聞くと、前向きな目標ができます。リハビリと仕事の両立方法、職場の理解を促す取組みなどの役立つ情報もわかって、仲間の大切さを感じるでしょう。仲間作りを進める方法ですが、患者さんが集まるコミュニティに参加します。市区町村役場が運営主体になって進めている機能訓練教室、介護保険制度のデイケアなどが候補でしょう。社会復帰を目指す患者さんなら、中途障害者地域活動センターを活用するのも一案です。地域との交流、ものづくりなどを仲間と一緒に経験して、社会の一員として活動する自信を育てていきます。手先を使った活動、仲間同士の会話などは、良いリハビリになるでしょう。

脳梗塞を発症した患者さんの中には、人との関わりを意識的に避ける方がいます。当たり前にできたことができなくなってしまった自分を恥ずかしく感じて、他人の視線が気になるためです。同じ後遺症を抱えた仲間とのコミュニケーションから始めると、意欲的にリハビリできるケースもあります。活動の中で小さな成功体験を重ねていき、自分に自信が持てるようになっていくと、家族や近所の人たちとの関わり方も変わるものです。社会から孤立した状態になってしまうと、リハビリの成果につながりにくいところも問題になります。人と関わる機会が減る分だけ、トレーニングのチャンスが少なくなります。1人で問題を抱え込んでしまった結果としてマイナス思考になってしまうと、メンタル面でのトラブルが心配です。脳梗塞の後遺症から認知症、うつ症状を併発する方も見られます。家族以外の人と交流するきっかけ作りに、脳梗塞の患者さんの仲間作りをサポートしましょう。

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脳梗塞の予後予測

後遺症の回復のためのナビゲーション

血栓を取り除いた後、患者はリハビリ生活へと入っていきます。主に理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といった専門家が具体的なリハビリを導くことになりますが、これらリハビリ計画を立てる上での前提となるのが予後予測。患者の状態や年齢、入院後の状態などを基にして、リハビリを経た一定期間後の患者の「回復の予測」のことを指します。

予後予測の方法は主に3つ。発症からの一定タイミングにおける状態に基づいて歩行能力を判断する「二木の予後予測」、脳画像における損傷範囲や損傷部位に応じて回復の可能性を判断する「脳画像からの予後予測」、体幹機能や認知機能などを基準に自立歩行の可能性を判断する「運動機能から見た予後予測」です。

いずれの予後予測も、精度は非常に高いものとして知られていますが、予後予測で悪い判断がなされたとしても、リハビリを諦める必要はありません。「歩行困難」と判断された患者が、実際に歩けるようになった例は多々あります。予後予測は、リハビリ計画を策定するうえで非常に大事な考え方。しかし実際のリハビリ現場では、予後予測をあくまでも一般的な目安と考えておくべきでしょう。

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予後は再発の危険性に注意

脳梗塞を発症した場合、すぐに病院で治療を受けて脳の血管内の血栓をtの利除けば、命の危険性はなくなります。後遺症が残る可能性はあるものの、家族はいったん、この段階で安心することでしょう。

しかし、脳梗塞は再発のリスクが高い病気。一度脳梗塞を発症すると、たとえ治療がうまく行ったとしても、20~30%の人は3年以内に再発すると言われています。さらに言えば、ラクナ梗塞、アテローム梗塞、心原性梗塞において、それぞれ5%、6%、8%の確率で発症1年以内に再発するとも言われています。

さらに厄介なことに、脳梗塞は再発のたびに症状が悪化していくという性質があります。再発した場合、一度目の脳梗塞の部位とは異なる細胞が損傷を受けるため、麻痺等の症状が拡大するのです。

脳梗塞は再発リスクの高い病気であることを改めて認識し、一度発症した場合には、その後適切なケア、適切な日常生活を送るよう、患者と家族は協力してください。症状が良くなったからと言って、くれぐれも自己判断で薬の服用を中止しないようにしましょう。

脳梗塞の予後に気をつけるべき後遺症

脳梗塞の治療を終えて、さらに病棟でのリハビリも終えて晴れて帰宅しても、症状の程度によっては、以後も様々な後遺症と付き合っていくことになるかも知れません。

最も多く見られる後遺症は、麻痺です。脳梗塞においては、右か左の半身麻痺がよく見られます。症状が重い場合は、半身麻痺であっても車椅子生活を余儀なくされることがあるでしょう。

また言語障害も多く見られる後遺症です。口を上手に動かせないために起こる構音障害や、言葉自体の認識が不確かとなる失語症の2つのタイプがあります。

記憶障害や高次機能障害が残る場合もあります。過去の記憶を引き出せなくなったり、または新しい情報を覚えることができなくなったりなどの症状です。直前の記憶を失う痴呆のような症状を見せることもあります。

他にも、周りには見えませんが、患者本人はしびれ、めまいなどの後遺症を自覚している場合があります。会話が可能であれば患者から直接症状を聞くこともできますが、失語症の場合は、家族が患者の自覚症状を理解することは難しいかも知れません。

以上のような後遺症が残ることを理解し、家族は協力して患者をサポートしていくようにしましょう。

脳梗塞発症後の生活への影響

脳梗塞の影響によって壊死してしまった脳細胞は、その後、元に戻ることはありません。壊死した脳細胞が持っていた機能に応じて、以後は後遺症と付き合わなければならなくなる可能性もあります。後遺症が残れば、大なり小なり、何らかの生活への影響は必至です。後遺症を持ちながらも自立した生活を送れる人もいれば、家族などの介護なくして生活ができない人もいるでしょう。

全国156の病院に調査した結果として、脳梗塞の発症後7日以内に入院した患者約17,000名が、予後にどのような状態をベースに生活しているかを調べたデータがあります。

  • ・杖なしで自立歩行しながら生活している…58%
  • ・杖を利用して自立歩行しながら生活している…11%
  • ・車椅子を利用して生活している…16%
  • ・寝たきりで生活している…8%
  • (死亡…7%)

また、その翌年の追跡調査において「日常生活における障害」の程度を調べたデータもあります。

  • ・後遺症自体がないので日常生活に障害なし…16%
  • ・後遺症はあるが日常生活には障害なし…31%
  • ・軽度の後遺症はあるものの日常生活の介助は必要なし…15%
  • ・歩行可能だが日常生活の介助が必要…13%
  • ・歩行を始め日常生活全般に介助が必要…13%
  • ・寝たきりなので日常生活に介助が必要…11%
  • (死亡…5%)

実に1/3以上の患者は、日常生活において何らかの介助が必要という結果になっています。

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